全焼した愛知の酒蔵が奇跡の復活!“酒造りの絆”が支えた、どん底から再建までの道のり...杜氏を目指す26歳女性が“ラベル”に込めた決意「夜明けを目指していく」
山田さんの支援をうけ、『水谷酒造』は『山忠本家酒造』の酒蔵の設備を借りて、今年9月より2つの酒造会社で酒をつくる「共同醸造」をスタートすることになったのです。
『山忠本家酒造』の山田さんは、支援の理由について、「地域から酒蔵が、ただただ消えていくのを、指をくわえて待っているっていうのは、ちょっとあんまりいい行いではないと思ったので」と話します。
火事により、酒造りに必要なものの大半を失ってしまった『水谷酒造』。しかし、元々使っていた「酵母」は、愛知県にある『食品工業技術センター』にて保管していたため、火の手を免れていました。 酒の味を左右する「酵母」。実和さん達は、再び“水谷酒造の味”をつくれることになったのです。
感謝の1本、ラベルに込めた決意
酒蔵によって、使用する器具も違えば、米も違う酒造り。 自身の過去について、「製造以外の会社の仕事もやってきすぎちゃって、けっこう飛び飛びな感じでスキルとかも。全部中途半端でっていうのが、自分の中ですごいコンプレックスで気にしていた」と話す実和さん。
続けて、「それを今は、本当に0からたたき直していただいている状態。本当にありがたいですし、こんな機会はまずないので」と、今の環境に感謝を述べます。
ひとつひとつの作業も、実和さんにとっては、酒造りを学ぶ大事な修業の場。真摯に取り組む姿勢に、『山忠本家酒造』長谷川祐司さんは、「小さい体で一生懸命、体つかって頑張っていると思います」と話し、同社11代目・山田さんも「本当にがむしゃらな子だなと思いますね。共同醸造する期間の中で、うちが渡してあげられるものがあれば」と、笑顔で語りました。
2024年11月10日、実和さんが待ちに待った、“酒を仕上げる日”がやってきました。「緊張がすごいです。本当に頼りになる方ばっかりで、甘えてしまっている状況ですが、しっかり(酒を)搾りあげられるように…」と、緊張した面持ちで心境を明かします。
火事があっても諦めず、慣れない環境の中で作り上げた実和さんの酒。納得のいく酒は、できたのでしょうか。