意外に人気者?『HUNTER×HUNTER』ハンター試験の迷惑者「トンパ」が地味に愛されるワケ
■心理戦も重要なハンター試験には必要な存在?
トンパは受験者にとっては迷惑極まりない存在である。しかし、ハンター試験の特性上、トンパのようなキャラクターは必要悪なのではないかという意見もある。騙し騙されるというのはプロハンターの世界では当たり前で、トンパのあの程度の工作にハマるようなら不適格であるのは間違いない。4次試験でレオリオを騙したトンパが、「だまされる方が悪いのさ」と話している通りだ。 ハンター試験では、ヒソカのように受験者を襲ったり、ゾルディック家や幻影旅団のメンバーのように危険な激ヤバ受験者も多い。こうしたことから、「つぶしがいがあるってもんだ」と新人つぶしに使命感すらも抱いているトンパのような、殺さずして実力のない者を排除する動きは歓迎していてもおかしくはない。 ハンター協会も、プロハンターのレベルを保ちながら試験の難易度を調整することに苦慮しているようだ。実際にゴンたちの受けたハンター試験では、全員脱落という衝撃の展開もあったほどだ。 この時は救済措置が取られたからよかったものの、レベル設定は相当難しいようだ。それを踏まえても、レベルの低いものをふるいにかけるという意味では、トンパはハンター試験にとっては「必要悪」といえるかもしれない。
■なぜか愛されるトンパというキャラクター
トンパはその登場回数のわりに、ファンの間で知名度の高いキャラとなっている。序盤のハンター試験編のキャラでありながらも、強烈な印象を残しているのだ。 人気の理由には「意外に高い実力がある」という点も挙げられるだろう。そもそもハンター試験は会場にたどり着くまでも難関で、トンパは35回もハンター試験で生き残っている時点でかなりの実力を持っている可能性が高い。 獰猛な動物がいるヌメーレ湿原でも生き残り、第3次試験まで突破する実力は、一般人としてはかなり優秀だ。原作でもアニメでもコミカルな面が前面に出ているので、その能力的な優秀さは目立っていないが、それでもある種の愛されキャラとしての地位を確立している。 極めつけは2011年のアニメで、彼のキャラクターソングが作られていることだ。そのタイトルは「オチロ底マデ」であり、2011年版アニメでトンパ役を務めた桜井敏治さんが歌っている。自身がつぶしてきた者の絶望の表情を描写しつつ新人つぶしの楽しさをねちっこく歌い上げる、実にトンパらしい歌だった。 この楽曲は『HUNTER×HUNTER キャラクターソング集1』に収録されており、他の人気キャラを差し置いてトンパの楽曲が収録されていることからも人気の高さがうかがえる。 トンパはとにかく強烈な印象を与えたキャラだ。原作での最後の登場はキルアの2度目のハンター試験の時で、キルアに見つからないようコソコソ隠れる姿が描かれていた。この試験では他の受験者とまとめてキルアに気絶させられて脱落したはずだが、現在何をしているのかは不明である。 「新人つぶしのトンパ」は、ハンター試験編を面白くするためにも必要不可欠なキャラとなっている。ハンター試験は肉弾戦だけでなく、戦略性が高かったり、人間心理を揺さぶる描写があったりするのも特徴だ。そんな試験を体現しているともいえるトンパに注目すると、ハンター試験編を新たな視点で楽しめるかもしれない。
スパロウ