河村たかしと「名古屋という異世界」の真実…圧倒的人気のウラには「ヤバい体力」と「独特すぎる選挙戦略」があった
地方政治の人気者といえば、維新を作った橋下徹のように、地元でさえ毀誉褒貶相半ばするものだ。しかし、奇矯な言動のわりには、この男を嫌う名古屋市民は少ない。それでいいのか、名古屋よ? 【図解】河村たかしとは何者なのか…? 「名古屋の怪物」の正体
名古屋弁丸出し、昭和感丸出し
「ハイそれでは、水ぶっかけ、お願いしま~す!」 スタッフの女性4人が赤い文字で「祝」と書かれたバケツを、河村たかし氏の頭上でひっくり返す。ズブ濡れになりながら笑みを浮かべ、両の手のひらを合わせる河村氏。マイクを渡されて、開口一番こう言った。 「サンキュウベリーマッチっとぉ! 総理を狙う男、アゲイン! 75歳だけん。なんか文句ある? にゃーだろ? トランプ、78だがや。ビャーデン(バイデン)、82だがや」 令和も6年目とは思えない、名古屋弁丸出し、そして昭和感丸出しの勝利宣言である。 先の衆院選で、前名古屋市長の河村氏は地元の愛知1区で日本保守党から出馬。結党1年の新興政党ながら50%近い票を得て、自民の前職だけでなく、立憲民主と維新の候補も大差で下した。 しかも出口調査では、支持政党を問わず、すべての層から3~4割の票を得ていたというから驚かされる。
「別に好きじゃないけど…」
それだけではない。この選挙で、日本保守党は比例得票率2%を超えて政党要件を満たしたが、河村氏が大きく貢献した。他地域で2~3%台だった同党の得票率が、愛知では5%を超えていたのである。 名古屋市内に半世紀以上住んでいる、70代の男性は言う。 「河村さんは、ストレートにものを言うところがええわね。ちょっと言葉は特徴的やけども、仕事しとるのは認めていますよ。今回もすごい数の票が入ったんだから、期待してええんでないか」 同じく、名古屋在住の60代女性も語る。 「まあ、別に好きってわけではないですよ。ちょっと常識がない感じだし、名古屋弁はわざとらしいし……でも、わが道を行く男らしさには感心してます。そこを皆に評価されているから、(衆院選でも)当選できたんじゃないでしょうか」 ところが、東京発の全国ニュースで河村氏の動向が報じられることはほぼない。日本屈指の大都市で圧倒的支持を得ているにもかかわらず、愛知を一歩出れば、ほとんどスルーされているのだ。