インド中銀、レポ金利を据え置き-金融政策スタンスを中立に変更
(ブルームバーグ): インド準備銀行(中央銀行)は比較的タカ派的なスタンスを緩め、利下げに向けた第一歩を踏み出した。他の中銀に追随し、政策の軸足を移す構えだ。
新たな委員3人が加わった金融政策委員会(MPC)は9日、政策金利のレポ金利を6.5%に据え置くことを賛成5、反対1で決定した。ブルームバーグが調査した大半のエコノミストの予測通りの結果だった。同委員会はまた、2019年6月以来初めて政策スタンスを「中立」に変更することを全会一致で決めた。
ダス中銀総裁は、食品インフレが今後数カ月で緩和する可能性があるとする一方、変動の激しい食品・エネルギー価格を除いたコア指標は底入れしたように見受けられると述べた。さらに、インドの経済成長の見通しは依然として不変であり、民間消費と投資が同時に成長していると付け加えた。
総裁はテレビ演説で「委員会はスタンスを中立に変更し、インフレの持続的安定にはっきりと焦点を当て続けることを決めた」と述べた。
政策発表の後、インド債券相場は2月以来の大幅高となり、10年債利回りは7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し6.74%を付けた。通貨ルピーはほぼ変わらず。株式相場は上昇した。
今回の措置により、インド準備銀行は早ければ12月の次回会合で利下げに踏み切る可能性も出てきた。世界の中銀による金融緩和の波に乗る形で米金融当局は先月、利下げを実施。インドでの急速な経済成長が鈍化する兆候も最近、示されている。
スタンダードチャータードのエコノミスト、アヌブチ・サヘイ氏は「中立的なスタンスへの変更という予想外の決定は、インフレ目標達成への自信の高まりを裏付けるものだ」と指摘。「12月利下げ期待が高まる公算が大きいが、消費者物価指数(CPI)の数値が最初の利下げ時期を決める主な要因であることに変わりはない」と付け加えた。
原題:India’s Central Bank Eases Policy Stance, Signaling Rate Cut (1) (抜粋)