MotoGP日本人ライダーの戦い【第20戦ソリダリティGP】中上貴晶、MotoGPライダーのキャリアに終止符
小椋藍のMoto2ラストレース
小椋藍(MTヘルメット – MSI)は、Moto2クラスでの最後のレースを、4位でゴールした。レース終盤までは3番手を走っていたのだが、最終ラップにディオゴ・モレイラ(イタルトランス・レーシング・チーム)との攻防となり、最終コーナーの進入でかわされたのだ。 「(モレイラは)いつもならレース終盤に離れるんですけど、今回は調子がよかったのか、ずっと後ろにいたし、がつがつしていました。いつもならそこまででもないんですけど」 レース後は「ものすごく悔しかった」という。けれどチームが最後のレースを終えた小椋を温かく迎えると、小椋もバーンナウトでそれに応えた。 「(レース後に)あんな感じで迎え入れてくれたから、そこで『そうだ、チームのためのレースでもあったんだな』って。今日、起きた出来事じゃないですけど、あらためてチャンピオンシップを喜んだりもしました」 今回のレースは、Moto2クラスで最後のレースであり、MTヘルメット – MSIでの最後のレースでもあり、そして、クルーチーフやメカニックとの最後のレースでもあった。小椋は、クルーチーフのノーマン・ランクやメカニックたちと、世界チャンピオンを獲得するために、ともにMTヘルメット – MSIに移籍してきたのだ。しかし、2025年からのMotoGPクラスへのステップアップとともに所属するトラックハウス・MotoGP・チームでは、新しいクルーチーフやメカニック、エンジニアが小椋を担当することになる。 小椋はMoto2やチーム、スタッフに別れを告げ、MotoGPクラスという新たな戦いの舞台に挑む。2025年、MotoGPライダー小椋藍がデビューするのである。
Moto3山中琉聖、今季ベストの走りで5位
Moto3クラスの決勝レースでは、山中琉聖(MTヘルメット – MSI)がレース終盤、表彰台争いに加わった。しかし他ライダーのオーバーランに影響を受け、追突されたこともあって、5位でゴールした。 「(アドリアン・)フェルナンデスがオーバーランしてロングラップから戻ってきて、その影響を受けたり、(ダビド・)ムニョスに後ろから追突されたりしました。フェルナンデスもムニョスもペナルティを受けましたけど、危険行為でもありましたし……、それが少し影響しましたね。(表彰台)いけるかなと思ったんですけど。……難しいですね」 「結果は5位でしたが、今年いちばんの走りができました。ブレーキングでの戦い方などは、いちばんよかったのかなと思います」 山中は、来季もMTヘルメット – MSIからMoto3に参戦する。「チームを変わらないのは初めてのこと。今日の状態から(来季を)始められるので、それが大きいですね」と、来季に向けて期待を込めていた。 古里太陽(ホンダ・チームアジア)は、大きなトップ集団のなかでおおよそ7、8番手付近を走り、7位だった。 「直線が上り切れなかったので1、2、3コーナーで追いつくしかなくて、オーバーテイクが難しかったです。難しいレースでしたが、そこそこの順位でゴールできたことはポジティブだったと思います」 来季、古里も今季と同じチーム、ホンダ・チームアジアから参戦する。今季は3度、表彰台を獲得したが、優勝には手が届かなかった。今季のホンダのMoto3マシンは、他メーカーに比べて直線で後れをとっており、ライダーがその不利をカバーしながら戦っている状態だった。 「(来季は)自分とバイクで向き合っていきたい。チャンピオン争いは、しなければならないと思います」 鈴木竜生(リキモリ・ハスクバーナ・インタクトGP)は、原因不明のメカニカル・トラブルによって13位だった。前戦マレーシアGPでもトラブルが発生しており、これについても「原因はわかっていない」という。2戦連続で、トラブルに見舞われた。 「バイクにちょっと問題が出て、うまく走れずに終わってしまいました。まだ原因もわかっていないですし、何が引き金となってそれが起こったのかもわかっていないので何とも言えないですけど。2戦連続で自分のせいじゃないところでレースを終えなければならないのは悔しいです」 来季については「まだわからないです」と語るにとどめた。 また、今季のMoto2ルーキーである佐々木歩夢(ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム)は、マレーシアGPの転倒で右手、右足を骨折し、今大会を欠場してシーズンを終えた。来季はRW - Idrofoglia Racing GPに移籍し、引き続き、Moto2に参戦する。
伊藤英里_Eri Ito