「仕事がキツくて限界です…」年金の「繰上げ受給」で60歳から年金生活を始めるのは損ですか?
繰上げ受給で60歳から年金生活を始めるのは損なのか
繰上げ受給による年間受給額の変化について確認しましたが、最終的にみて繰上げ受給は損なのでしょうか。 結論、繰上げ受給が損になるかどうかは何歳まで生きるかによって決まります。寿命別にみた生涯年金受給額は以下のとおりです。なお、シミュレーションの条件はさきほどの条件と同様とします。 ●寿命ごとの生涯年金受給額 寿命:65歳から受取開始:63歳から受取開始:60歳から受取開始 ・70歳:800万円:1015万円:1220万円 ・75歳:1600万円:1740万円:1830万円 ・80歳:2400万円:2465万円:2440万円 ・85歳:3200万円:3190万円:3050万円 ・90歳:4000万円:3915万円:3660万円 ・95歳:4800万円:4640万円:4270万円 ・100歳:5600万円:5365万円:4880万円 70歳で死亡する場合、繰上げ受給により60歳から受給を開始すればもっとも高額な年金をもらうことが可能です。一方で、85歳以上まで生きる場合は65歳から年金を受給したほうが生涯で受け取る年金総額は多くなります。 寿命は事前にわからないため、一概に繰上げ受給が得か損かを結論付けることはできないことがわかるでしょう。
老後の生活をシミュレーションしよう
繰上げ受給をしても大丈夫かどうかは、年金受給額や生活費、貯蓄額によって異なります。 そのため、まずは自分が繰上げ受給をした場合にどのような老後生活を送ることになるのかシミュレーションしてみましょう。 シミュレーションの結果、繰上げ受給により老後生活が厳しくなるのであれば、仕事は早く辞めずに定年まで働いたほうがいいでしょう。
参考資料
・日本年金機構「年金の繰上げ受給」 ・厚生労働省「公的年金シミュレーター」
苛原 寛