明日2度目の先発!大谷翔平の疑念ボールはなぜメジャーで通用したのか?
4月1日(日本時間2日)、大谷がアスレチックス戦にメジャー初先発、初勝利。翌2日になってStatcastのデータが公開されたのでさっそく調べてみると、結論から言えば、大谷の球は動いていた。 縦横の動きというのは、同じ球が無回転で、重力のみが作用した場合、ホームベース上のどの位置にくるかを基準値とし、それに対して実際のボールがどこを通過したかで、動きを計測する。 そこで大谷の4シームの軌道を調べると、横は右方向に20.4センチ、縦は上に39センチ動いていた。 横の動きに関して、右投手の球が右に行くということはシュート回転がかかっていることを意味するが、これはごく自然な現象で、カーショウなど、ほんの一握りの投手を除いて、基本的に4シームというのはシュートしている。 問題はその程度。 どの程度なら、動いている、あるいは動いていないと打者が感じるのか。横の動きのメジャー平均を調べてみると、まさに20センチ前後であり、大谷の球はまさにその平均値だった。 つまりそれは、打者が一番見慣れた球筋。打者にとっては一番動きが予測しやすい球でもあり、案外それが、 “動かない球”の正体とも言える。 上に39センチというのは、メジャー平均が約43センチなのでやや下。ついでに触れれば、大谷の4シームの平均回転数は2219だったので、これもほぼメジャーの平均値(2247、2016~17年)。よって、軌道と回転数で見れば、大谷の4シームの軌道は極めて平均的だと言える。球の質ということで言えば、決して相手が嫌がるものではない。 もちろん彼には、100マイル(約160キロ)近い球速があるため、そこがアドバンテージだが、それが落ちれば簡単にとらえられる。オープン戦でホームランを打たれたのも、95マイル(約153キロ)前後の球だった。 ただ、それだけでリスクと捉えることも出来ない。 おそらく、常時安定して、初先発のときのようなスプリットが投げられるのだとしたら、4シームのありふれた軌道は、長所にもなる。というのも、スプリットの横の動きを調べてみると、4シームのそれとわずかな差しかなかったからだ。 それは、今年からStatcastで得られるデータのひとつとして、baseballsavantというサイトで提供されている「3D Pitch Visualization」で確認出来る。大谷が過去2年で85本塁打を放っているクリス・デイビスに対する全球を調べると、上の図1のようになった。