3946万8000円の新しいベントレーのオープンカーは超エレガントだった!!! 新型コンチネンタルGTCアズールの贅沢すぎる走りに迫る
優雅なドライブフィール
精神的にはかなりストレス発散が可能なモデルだ。3996ccV型8気筒ツインターボエンジンは、404kWの最高出力と770Nmの最大トルクをもち、全輪駆動システムを使って、2370kgと重量級ながら、静止状態から100km/hまでを約4.1秒で加速するという。 気持ちいいなぁ、と、思うのは、加速感。どっかんとロケットのような加速というより、アクセルペダルを踏んでいると、ぐんぐんと速度が上がっていく。コンフォートモードを使ってのドライブフィールは、ぜいたくな雰囲気の強いコンチネンタルGTCによく合っている。 ハンドルの操舵感覚といい、ハンドルを動かしたときの車体の反応速度といい、サスペンションシステムと車体の動きといい、適度なゆったり感がじつに気持ちのいいコンフォートモードは最高と感じられる。 幌は上げたときでもキャビンが小さく見える設計。もちろんオープンがもっともスタイリッシュなのだけれど、クローズした状態でも十分に見目麗しい。そこが、スポーティなカブリオレのよさなのだ。 幌を下ろしての走行時、運転席にいると、オープン感は意外と少ない。ウインドシールドが前席乗員の頭の上まで差し掛かっているため、風の巻き込みが抑えられているとともに、“守られ感”がある。 英国のオープンモデルは、しかし、本来もうすこしオープン感が強かった。ベントレーもしかり。もうすこしウインドシールドが立っていて、空との一体感のようなものを感じられた記憶が私にはある。 アズールは先述のとおり南仏の地名だし、かつては姉妹ブランドだったロールス・ロイスのオープン、「コーニッシュ(コルニッシュ)」はモナコの道。つまり、ちょっと温暖な避暑地の名前と、オープンモデルが結びつけられていた。 ベントレーはいまのところ、クラシカルともいえる希少性を狙っているのだろう。もちろん、シートは横転時を考えて乗員の頭部保護のフレームが入っているようだし、メーターやインフォテインメントシステムはデジタル化、と、大事なところは時代にアップデートしている。 センターコンソールに配置された数え切れないほどのコントロール類を、ボイスコントロール主流のいま、どう評価するかはなかなかむずかしいけれど、少なくともほかに類はない。 願わくは、ボイスコントロールシステムの精度がより向上すればよい。属する市場を考慮すると、BMWやメルセデス・ベンツに追いつくといいなぁ、と、思う。少なくとも、最新のアウディ「A8」並みになるとよい。専用のOSが必要になるだろうから、一朝一夕には実現しないだろうか。 なにはともあれ、V8のトルク感をうまく活かしながら、独特のハンドリング性能と、快適な乗り心地をもち、なにより美しいインテリアと、類のない存在感を評価できるなら、コンチネンタルGTC アズール V8は、よい買い物だと思う。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)