「新幹線のお医者さん」のドクターイエロー、現行車両でその活躍にいよいよ幕? 2020年代後半で引退と考える3つの理由「鉄道なにコレ!?」【第52回】
JR西日本に尋ねたところ「各駅間を走行する際の運転時分はドクターイエローの方が(他の営業列車より)長いのが現状だ。検測などのためドクターイエローが走行する際は、後続の他の営業列車が追い付かないようあらかじめダイヤの調整を行うなど運用上の工夫を実施している」との回答だった。 もしもN700Sの一部編成が運用中に円滑な検査ができるようになれば、「運用上の工夫」の手間が省けるようになる。 ▽理由3:ひかりレールスターの退役が影響も ドクターイエローの現行車両923形が引退すると考えている最後の理由は、JR西日本が営業用車両では次にひかりレールスター700系を全て退役させる計画だからだ。車両整備や部品管理を効率化させるため、同じく700系がベースのドクターイエローの引退を併せて検討してもおかしくない。 ただし、少なくともJR西日本が抱えるドクターイエローのT5編成は2020年代後半までは運用する見通しだ。
JR西日本が運用中の最も古い新幹線車両は500系だが、山陽新幹線の最高時速300キロで運転することが可能だ。そこで500系より新しいものの、最高時速が285キロにとどまるひかりレールスター700系を「先に引退させることを計画している」(関係者)という。 鉄道車両は「人間ドック」に当たる大がかりな検査である全般検査を通さずに廃車にする場合が多い。T5編成は直近では2020年1月に全般検査を終えており、JR西日本は「全般検査の周期と定めている120万キロまたは36カ月以内に次期全般検査を実施する予定だ」と明らかにした。よって2020年代後半までは運用する計算になる。 ▽聞こえてこない後継車両の開発情報 ドクターイエローが現行車両の923形で終了すると筆者が予想しているのは、N700Sの営業用車両の一部編成に検査機能を設けて〝ドクターイエロー化〟する動きに加え、次期車両を開発しているという情報を「聞いたことがない」とJR東海、西日本双方の関係者が口をそろえているためだ。