丸山隆平が衝撃を受けた、東京事変の楽曲─ベーシスト談義を亀田誠治と繰り広げる
スガシカオの作詞に感心するふたり
丸山が3曲目に選んだのは、スガシカオの『あまい果実』だった。 丸山:この曲はまだSUPER EIGHTがデビューする前、松竹座で1ヵ月公演とかをやるタイミングで(出会った)。休演日に横山(裕)君の車と(渋谷)すばる君の車でわかれて、みんなでバーベキューに行くことになったんですね。 亀田:楽しそう! 丸山:海外に向かう途中、すばる君がこの曲をかけていたんですよ。聴いていたら異色なものが始まったぞって思ったんですよね。 亀田:たしかに! リズムも独特だよね。 丸山:好きな女の子を疑っている歌詞から入って怖いって思っていたら、サビが美しいメロディーで。自分の気持ちの変化を、1番2番3番に通して結んでいく構成だったんです。ストーリー性もありながら、独特のファンクのヌルっとした感じもあって。 亀田:ディープな感じがあるよね。 丸山:そういったところや歌詞の世界観に魅了された楽曲です。 亀田:歌詞の一行一行にちゃんと意味があるよね。 丸山:そうですね。情景が思い浮かぶし感情もまとめてくるんです。スガさんの歌詞、好きなんですよねえ。あとは『月とナイフ』も好きです。 亀田:いいですよねえ。 丸山:一発目からパンチラインがエグいです(笑)。 亀田:パンチラインの話でいうと、僕はスガさんの楽曲もプロデュースをしていたので、以前話したことがあるんですよ。スガさんは“黄金の一行”という言葉を使ってた。彼、(言葉が)降ってくるんだって。 丸山:へええ! 亀田:「この一行でこの曲は決まる」っていうのができるんだって。それを自分で黄金の一行と呼んでいる。 丸山:自分のなかで感触があるんだ! 亀田:一緒に曲を作っているときも「亀田さん。2番に黄金の一行が入りました」みたいなメッセージが来ました。めっちゃそれがよかった(笑)。 丸山:すげえやりとり! ご本人が思っている黄金の一行とリスナーが思っているものは同じなのか気になりますね。 亀田:絶対に一致する。もしくはリスナーが思うものを超えてくる。普通は逆で、作り手がバッチリだと思ったものが案外「あれ?」となるんですよ。スガさんは本当にすごい。 丸山:リスナーの気持ちがわかっているってことなんですかね。それとも、時代に合った言葉が紡ぎ出されている? 亀田:どうなんだろう~!