新型メルセデス・ベンツGLC350eは、わかりやすい“イイクルマ”だった!!! ドイツ製高級SUVの実力に迫る
優れた乗り心地
PHEVということでついEV走行に目が行ってしまうけれど、それよりなにより、このクルマの美点は乗り心地がいいことだった。多くのクルマが苦手とする、路面が荒れて、洗濯板状にしわしわになった箇所を強行突破しても、「タン、タタ、タン」と、軽やかに、リズミカルに乗り越えてくれるのには感心した。 このクルマにはAIRMATICサスペンションが標準装備されており、このエアサスと可変ダンピングシステムの組み合わせは、乗り心地だけでなく操縦性の向上にも寄与していると感じる。 高速コーナーでも良好な乗り心地を保ったまま、安定した姿勢で踏ん張り、快適な乗り心地とコーナリング能力のバランスのよさが際立っているのだ。加えて、メルセデス自慢の4MATICが4輪に適切にトルク配分を行うことで、一糸乱れぬ、と、表現したくなるフォームでコーナーをクリアする。とても車重が2.3トンもあるSUVのコーナリングだとは思えないほど、“足のいいヤツ”だ。 こんなにきれいに曲がるのか、だったらこうだ! と、ダイナミックセレクトで「S(スポーツ)」を選ぶと、パワートレインの主役がエンジンに交代する。この直4エンジンがなかなかに切れ味の鋭いヤツで、遮音がしっかりしているからエンジン音のボリュームは控えめながら、健康的な快音とともに回転を上げ、それに比例して力感もみなぎる。 ディスプレイの表示を観察すると、エンジンが主役になってはいるもののモーターも適宜アシストしているようで、お互いの得意分野と苦手な領域を、上手に補完していることがわかる。 こうやって好き勝手に走っているとバッテリーはぐんぐん減るので、ここでダイナミックセレクトを操作して「B(バッテリー)」を選ぶと、充電しながら走るようになる。こうしてたっぷり電気を貯めておけば、深夜の住宅街や早朝のキャンプ場ではEV走行をすることができる。 どんなに環境にいいと言われても、カッコが悪かったりつまらないクルマだったりしたが、普及しないはず。 その点、このクルマは快適なうえにファン・トゥ・ドライブ。PEHVとかエコカーである前に、とてもいいクルマに仕上がっている。
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)