阪神・才木浩人、雨ニモ負ケズー完封勝利 「すごい状況」「チームが勝ててよかった」
(セ・リーグ、阪神3ー0中日=七回裏無死降雨コールド、6回戦、阪神4勝1敗1分、21日、甲子園)膝下に残る泥の跡が、コールド宣告の瞬間に勲章へと変わった。ぬかるむマウンドでたくましく腕を振り、7回3安打8奪三振完封。阪神・才木浩人投手(25)がチームを首位の座に押し上げた。 「今年初の甲子園(登板)が何かすごい状況だったんですけど、とりあえずチームが勝ててよかったと思います」 試合前から断続的に降り続く雨の影響により、予定から53分遅れでプレーボール。試合中も内野の黒土部分は水たまりができては整備が行われ、一定のテンポは刻めない。そんな難しさを強いられながらも、集中力は切らさなかった。 内野手のことを思い、ゴロではなくフライや三振でアウトを稼ぐことを意識し、二回までに5奪三振。「力を入れて投げるとだいぶ足が滑っていた。ゾーンの中でカウントを取りにいく感じで」。100%の力は出せなくても、精度の高いスライダーも駆使しながら、投手戦を演じた。 六回には同学年の佐藤輝が均衡を破る先制3ランを放ち、ガッツポーズ。大きすぎる援護をもらうと、直後の七回も三者凡退で斬り、勝利の瞬間へと飛び込んだ。三塁を踏ませない雨中の好投に岡田監督は「才木が一番やりたかったみたいでね。それに値するピッチングをしてくれました」とほめたたえた。 2020年11月の右肘のトミー・ジョン手術から復帰を目指すリハビリ期間中に読書を通して、色が持つ視覚的効果を学んだ。グラブの色はどんな天候でも映える赤色。好きなカラーでもあり、「体の可動域が広がったり、動けるので」と理由を明かす。グラウンド外でも、ベッドや布団は目がさえるような暖色を避け、紫色系の落ちついた色を採用し、安眠につなげている。細かな部分に気を配るのも、全てはパフォーマンスにつなげるため。ぬれながらもスタンドをレインコートの黄色で染めたファンには、感謝を勝利という形で届けた。 「(チームは)今すごく乗っていると思うので、これからどんどん勝ちを積み重ねていってほしいなと思います」
6連勝の始まりも才木だった。雨ニモ負ケズ、連勝バトンをパス。首位に立ち、虎色のシーズンがここから本格化する。(須藤佳裕)