危なくてハラハラ、公道の観光ゴーカートは止めてロボット駕籠屋はどうか? イメージ重なる…赤木圭一郎さんの撮影所での事故
【椎名誠の街談巷語】 ひところから外国人旅行者らしい人々が、ゴーカートみたいなのに乗ってそこらの道をキャッホーなんていって走り抜けていく姿を見るようになった。ぼくは渋谷の下町に住んでいるから、ああいうのがとくに多かったようだ。 【写真】マリオ風のコスプレで都内を走っていたマリカー 陽気に行列をつくって走っているのを見て「よかったね」とやさしい気持ちになっていたが、ときに危ない場面も見た。 自転車に乗った日本のお母さんが前と後ろに子供を乗せて颯爽と走ってくるのを見るときなんかだ。あれ、見ていてこわいよなあ。でも日本のお母さんは勇敢だから、よっこらしょうとさして信号も確かめずに路地から大通りに出てしまったりしている。 ゴーカート連中が日本のそういう風習をどのくらい理解しているのか、そんな風景に出会うたびに不安になる。 カートにのったドンパチ野郎が何か食いながらやってきてそういう自転車の子供らに「ウイー」なんてそれをヒラヒラさせると、それを見て日本のよい子も手を振っているが、あぶないっつーの。ちょうど舗装の悪いところで自転車が大きくバウンドしたらどーすんだ。自転車倒れる。ゴーカートは行ってしまう。どーすんだ。 だからあの観光ゴーカートを見るようになってから、街を歩いていても落ちつかなかった。 ぼくが青少年の頃、日活撮影所でアイドルスターの赤木圭一郎さんが撮影所でゴーカートに乗って激突して亡くなる、という事故があった。その頃のゴーカートと今のそれは全く構造もなにも違うのだろうが、イメージは重なる。いまのアレの運転免許証はどうなっているんだろうか。事故その他の保険はどうなっているんだろうか。 もっと確実で安全な遊覧装置はないかと考えていたら、ありました。人力車よりも、もっとヒトメをひいて印象深い「駕籠」である。あの、前と後ろに担ぎやさんがいて「エッホウ」「エッホウ」と担いでいってくれるやつ。おさるが担ぐんじゃなくてロボットがやってくれるのはどうだろう。二十一世紀の日本のテクノロジーだったらそんなもの簡単に作れるでしょう。 駕籠は簡単な辻駕籠から、大名が乗ってるみたいな漆塗りのたいそうな奴まで用意する。