【高校受験での「内申書」の評価ポイント】2021年の変更で公立中学校の評価基準から「ノートの取り方」や「挙手の回数」などが除外された理由
「テストの得点」との連動性が増した「内申書の評価基準」
実際のところ、高校受験で提出が求められる内申書では、何が評価されるのか。『「中学受験」をするか迷ったら最初に知ってほしいこと』(Gakken)の著者で、Xアカウント「東京高校受験主義」で4万8000人のフォロワーをもつ塾講師の東田高志氏はこう語る。 「公立中学校の内申点(各教科の5段階評価)について、文科省は、『知識・技能』『思考・判断・表現』『主体的に学習に取り組む態度』という3つの観点を各教科ごとに設定しています。ほとんどの中学校では、これら3観点を均等に評価し、その合計得点から5段階の評価をつけるとしています。 『知識・技能』と『思考・判断・表現』の評価は、主に定期テストの結果で決まります。3つ目の『主体的に学習に取り組む態度』は、かつて文科省が『関心・意欲・態度』と呼んでいた観点です。授業中の態度や挙手の回数、ノートの表面的なきれいさなどを評価したり、授業中の頬杖を減点対象にしたりする学校もあったと言われています。 しかし、手を挙げられない性格の子は不利になるし、頬杖をついていようが、定期テストの点数が高い子は学習意欲が高いはずだといった指摘もあり、2021年にこの観点は廃止されました。現在の『主体的に学習に取り組む態度』の評価基準は、『提出物』『振り返りシート』『授業発表』『定期テスト』の4つに集約されます」 「提出物」は期限内に提出物を出したかどうかで評価する。『振り返りシート』は、授業の終わりに生徒が何を学んだのかを記述するシートで、それを元に授業への参加具合を見る。『授業発表』は英語のスピーチ活動などで、取り組む姿勢を見る。『定期テスト』の結果も学習に取り組む態度の判断材料にする。これらの項目をどこまで評価材料にするかは、学校や教員、あるいは教科によって変わる。 「塾で『授業中は積極的に手を挙げるように』と指導していた時代がありましたが、新観点になり、公立中学校の授業では性格による有利不利をなくす工夫が進んでいます。この2年間で200以上の授業を見学した経験から言うと、挙手の機会が大幅に減り、代わりに全員が平等に発表する『英語1分間スピーチ』などが取り入れられています。先生は後ろで評価表にチェックを入れ、これが『主体的に学習に取り組む態度』の評価につながります。以前のように挙手の回数や態度を基準にしていた頃と比べ、より幅広い“学力”を評価する仕組みに改善されています」(東田氏)
取材・文/清水典之(フリーライター)