カインズ、サイボウズの人気オウンドメディア編集長に聞く! コンテンツのPDCAはどう回してる?
Planは、オウンドメディア・コンテンツマーケティングの全体の設計だと考えています。具体的にはペルソナ設定、カスタマージャーニー設計、コンセプト設計、コンテンツテーマ設計などです。その後、Doでコンテンツ制作と配信を行い、結果のモニタリングや分析をCheckで行います。Actionで公開した記事の改善や、Planに立ち戻って全体設計を調整したり、テーマの方向性を変えたりするのがコンテンツのPDCAサイクルだと考えています。
[Plan(全体設計)に関する質問] 立ち上げのきっかけ・目的は? コンテンツテーマの決め方は?
■ Q:そもそも、立ち上げのきっかけや目的は 与那覇氏 お客様、メンバーのアイデアや課題を共有・共創・発信できる場を作りたかった。 カインズは長い歴史があり、社内には各商材に関するスペシャリストがいますし、商品を購入するお客様にもスペシャリストがいます。その知識、アイデアを発信する場がないという課題があり、発信を通じてカインズのファン獲得や売上に貢献できる場を作りたいというのが立ち上げのきっかけです。 西潟氏 「メールワイズ」の認知拡大、流入獲得をしたかった! B2Bの製品で『メールワイズ』の市場での認知度が低かったので、まずはメールワイズの認知拡大・新規層の流入獲得目的で始まりました。 白砂氏がGoogleトレンドのデータを示し、「ここ2年ほどで認知度は上がってきているようだが、実感は?」と、問いかけた。西潟氏によると、自社で実施している認知度調査で認知度が上がっているという。また、メールワイズ購入者向けのアンケートで、接触した記事や広告に関する質問では、50%以上が「メールワイズ式」を閲覧したと回答しており、認知獲得に効果があることを実感しているという。 ■ Q:立ち上げ期にコンセプト設計・カスタマージャーニー設計など「全体設計」はどこまでやりました?
それぞれの回答を表にまとめたのが次の図だ。
「となりのカインズさん」がペルソナ設定で◎が6つ続いたあと×となっている理由を、与那覇氏は次のように説明する。 与那覇氏 実は最初、ペルソナ設定をめちゃくちゃしっかりやりました。たとえば、主婦、大工などさまざまなペルソナを考えましたが、最終的には個々のペルソナを設定せずに運営しています。ホームセンターを遊び倒す、というコンセプトを実施するにあたって、ペルソナを一人に決めないほうがいいと考えたからです。 「メールワイズ式」では、ペルソナは△となっている。西潟氏によると、深掘りしてガチガチに決めるのではなく、「メール対応をしている人」というように少し浅めに決めるのにとどめたという。「メールワイズ式」の競合調査は×となっているが、当時は競合企業でオウンドメディアを実施している企業は少なかったため、行わなかったという。 ■ Q:コンテンツテーマの決め方を教えてください 与那覇氏 社内・お客様・クリエイター・編集者の興味関心。オウンドメディアは玉虫色。 「となりのカインズさん」の場合、読者層が広い分、多種多様な興味関心の掘り下げ方がある。編集メンバーがプライベートで店舗に立ち寄り、気になる商品を見つけ、それをテーマに記事を書くこともあれば、お客様から「この商品について記事を書いてもいいですか」と申し出があることもあるという。「玉虫色」と表現した理由を与那覇氏は、「オウンドメディアは、自社採用、マーケティング、販売といったいろんな役割があると思っていて、まるで玉虫のようにどの角度からみてもキラキラと輝いているものなのだと思っています」と説明した。 西潟氏 検索ニーズや検索ボリューム、CVが取れそうか。 「メールワイズ式」では、検索ニーズ、検索ボリュームを調査し、流入がとれるかどうかを検討した上で、優先度を決めてテーマを選定しているという。CVとして、「製品のお試し利用」「資料ダウンロード」を用意しており、その記事でセッションやCVがとれるかどうかを基準にテーマを検討する「現実路線」の考えで運用している。