自然保護活動とモデル・俳優業を両立 華みきさんの持続可能な未来への提案とは
亡き祖母が紡いでくれた沖縄との縁
――最近は沖縄で多く活動されています。そのきっかけや現在取り組んでいることについて教えてください。 沖縄との縁は、10歳のときに、祖母が平和教育のために連れて行ってくれたことがきっかけです。ひめゆり平和祈念資料館を訪れ、その時に見聞きしたサトウキビ畑やガマ(自然洞窟)の話が強く心に残っています。 大人になってからは、観光やレジャーで沖縄に行くことはなかったのですが、その体験があったことで、平和や沖縄のために何かできたらという思いがずっとあり、ラジオ番組への出演オファーを通じて再び縁が深まりました。 2021年に沖縄でラジオ出演を始め、現在はFMやんばるで毎週木曜日の午後9時に「華のときめきラジオ」を放送しています。このラジオ放送を通じて、沖縄の自然や文化について学びながら発信し、地域の人々と交流を深めることができました。 2023年9月にはNPO法人「やんばる・地域活性サポートセンター」から「ヤンバルクイナ親善大使」に任命され、ヤンバルクイナをはじめとする希少動植物の保護活動に取り組んでいます。 この保護活動を通じて、世界自然遺産でもある沖縄のやんばる地域(沖縄本島北部の国頭村、大宜味村、東村の3村を合わせた地域のこと)の自然環境の重要性を再認識しました。このことをより多くの人に知っていただけるよう、様々な形でPRしています。
身近な地域の自然を大切にしてほしい
社会が多様化し、家族もさまざまな形のある現代だからこそ、俳優としてコメディーからシリアスなものまで、新しい女性像を演じてみたいと思っています。自然保護活動では、地域に還元できるよう、自然の守り手を増やす活動にも取り組みたいと考えています。 具体的には、私が得意な分野であるアートや音楽、ドキュメンタリーといった方法を通じて、世界自然遺産となったやんばるの魅力を届けるプロジェクトを構想中です。 昨年、やんばる地域の子どもたちと一緒に「やんばるの森とこどもたち」という創作劇を作りました。子どもたちがやんばるで暮らす日々と、やんばるの森の生き物たちの声を拾った作品です。このように、地域の自然と人々を次世代につなげていく活動を続けていきたいと思っています。 ――自然保護活動を通じて特に伝えたいことは何でしょうか。 ラジオを聞いた方やドキュメンタリーを見た人から、時折「活動のお手伝いをしたい」という声が届くことがあります。そういった人には、まず身近な地域の自然を知り、大好きな場所を見つけていただき、それを大切にしてほしいとお答えしています。 今いるところを大事にすること、その輪が広がることが、世界中が豊かになっていくことにつながります。知らない地域や興味を持った地域のことを学ぶのも素晴らしいことですが、すぐ目の前に大切なものがあるかもしれないということを伝えたいのです。身近な自然は、前の世代から受け継がれてきたからこそ美しく感じられるのだと思います。 ネイティブアメリカンの言葉で「7世代先のことを考える」というものがありますが、日本にも、次に使う人のことを考えるという考え方がありますよね。そういった気持ちを大切にするようなつながりを作っていきたいと思います。 人との出会いに生かされてきたので、これからも一期一会を大切に、素敵な循環を生んでいきたいです。
朝日新聞社