“乾燥列島”東京で住宅火災の死者急増 生活の中に潜む意外な出火リスクも…
■線路沿いの火災 市民の足に影響 大阪
住宅火災は、市民の足にも影響を与えました。 線路のすぐそばで燃え上がる炎。3日、大阪・城東区で起きたアパート火災。空から見ると、線路の真横で煙が立ち込めているのが分かります。 火はおよそ1時間後にほぼ消し止められ、1人が救助されましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。 この火事の影響で、JR西日本は学研都市線とおおさか東線の一部区間で、およそ2時間半にわたり運転を見合わせました。 長野県安曇野市でも、線路近くの住宅で激しい炎が発生しました。5日、木造平屋建ての住宅から出火し、78歳女性が顔などにやけどをして搬送されました。 近くを走るJR篠ノ井線が運行を一時見合わせ、およそ800人に影響が出ました。
■「乾燥で燃え広がるスピードは3倍」
東京消防庁によると、去年、都内で住宅火災により死亡した人は82人で、過去10年で最多ペースとなっています。 全国の月ごとの出火件数を見ると、12月から3月にかけては「火災多発期」で火事の発生が特に多く、注意が必要だといいます。 火災を広げる大きな要因は乾燥です。6日、東京では40日ぶりにまとまった雨が降りましたが、それまでは空気が乾燥した日が続いていました。 札幌市消防局の実験映像では、乾燥した木材と湿った木材を同時に燃やします。湿った木材にはなかなか火がつかない一方、乾燥した木材にはみるみる炎が燃え広がっていきます。 札幌市消防局 防火安全係 佐藤剛消防司令補 「湿度の低い条件の下では、夏場などの湿度の高い条件下に比べて、実験では約3倍速く燃え広がることが分かっています」 空気が乾燥した冬は、夏と比べて燃え広がるスピードが3倍になります。 佐藤消防司令補 「木材の中に含まれる水分量が少ないので一度、火がつくと木材が燃え進むスピードがものすごく早くなります」
■冬場の火災リスク ストーブ・こたつに注意
4日、札幌市で起きた住宅火災では、住民から「ストーブを消し忘れて1階から火が出た」との通報がありました。 寒さが増す12月から3月ごろの間は、ストーブ火災が増える時期でもあります。 NITE(製品評価技術基盤機構)による電気ストーブを使った実験映像では、寝返りを打った時に布団が電気ストーブに接触する様子が映し出されています。 9分ほど経つと煙が出始め、およそ30分経過すると布団に火がつき、激しく燃え上がりました。 冬場のストーブの使用では、こんな危険性も…。 NITE製品安全センター製品安全広報課 宮川七重課長 「ストーブで衣類を乾かしているという状況ですが、実際スルッと落ちてここに下がってきてしまう。そうすると、これが火種になって火災になるということが起こる」 NITEによる実験映像では、電気ストーブの上に干した洗濯物がヒーター部分に接触すると、4分後に火がつき、みるみるうちに燃え広がりました。 他にも、火災につながるリスクのある暖房器具があります。 宮川課長 「こたつもですね、ヒーターとの距離が近すぎたり、あるいはくっついてしまったりとかですね、そういった状況ですと、最悪火事になるような事例もございます」 こたつの中で洗濯物を乾かしたり、こたつ布団がヒーター部分に長時間接触したりして、火災となるケースもあります。 NITEによると、2017年から2021年の5年間で、電気ストーブとこたつが原因の火災は347件で、そのうち26件が死亡事故につながっています。 宮川課長 「冬場、なかなか洗濯物が乾かないということで、(ストーブやこたつで)乾かしたくなるお気持ちも分かるんですけれども、その行為はとても危険ですので、やらないでいただきたい」 さらに、冬場ならではの火災リスクがあります。容器の中で激しく燃える炎。燃えているのは消毒液です。 風邪予防のため、この時期に需要が増す消毒液ですが、静電気による小さな火花でも引火することがあり、容器を移し替える時などの扱いには注意が必要だといいます。