阪神・近本、3年連続盗塁王 NPB史上初の新人から6年連続打撃タイトル 永久獲得へ30歳の肉体改造
プロ野球の年間表彰式「NPB AWARDS 2024 supported by リポビタンD」が26日に都内で開催され、阪神・近本光司外野手(30)が19盗塁で3年連続5度目の最多盗塁、桐敷拓馬投手(25)が43ホールドポイント(HP)で初の最優秀中継ぎを受賞した。近本は球団OB赤星憲広氏(本紙評論家)を超え、新人から6年連続の打撃タイトル。来季以降も継続させ「永久タイトル獲得」を見据えた。 近本が今年も栄えある式典に帰ってきた。ルーキーイヤーから6年連続で出席。今年は3年連続5度目の盗塁王と、4年連続4度目のベストナインを引っさげ、堂々の“凱旋”を果たした。「(タイトルが)続けば続くほど変なプレッシャーを感じる」。猛者との争いを勝ち抜いた喜びもさることながら、無傷で1年を走り切った安堵(あんど)感を強調した。 「毎年ここに来られてうれしい。ケガなくシーズンを続けて、ここまで来られてよかった。自分を自分で評価するなら、そこかな」 常連の貫禄すら漂わせる男は今季、前人未到の域に到達した。01年から盗塁王の座を5年間堅持した赤星氏を抜き去り、新人からの6年連続打撃タイトル。NPBの表彰対象となるタイトルを入団年から6年連続で獲得したのは、プロ野球史上初めての快挙だ。その偉業にも「それは周りが評価すること」と興味を示さなかった。満足感を上回る危機感こそ、近本の原動力だ。 「自分でも、もう少し頑張れよという感じかな。ここから一回でも落ちてしまったら、どうなるのかわからない、というのはある」 頂点に君臨し続けるために、自己投資も惜しまない。今オフ、自宅のウエートトレーニング設備を充実させ、上半身や下半身、体幹の筋力アップに日々励む。9日に節目の30歳を迎え、肉体改造に着手。選手寿命を延ばすべく、でき得る限りの鍛錬を積む。 「妥協しないようにやらないと。一回(タイトルが)途切れてしまうと、もう一回上がってくるのは難しい。続くんだったら、できるだけ続く方がいい」 来季、7年連続のタイトルとなればイチロー氏(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)に肩を並べる。21年以来2度目の最多安打返り咲きも見据え、はるか先には奇跡の“永久タイトル”すら思い描く。夢を夢で終わらせない強固な志が、近本にはある。(八木 勇磨) ○…近本(神)は新人の19年から今季まで盗塁王5度と最多安打1度で6年連続の個人タイトル獲得。新人からの連続シーズンタイトル獲得(表彰対象に限る)では01~05年赤星憲広(神)の5年連続盗塁王を上回るプロ野球記録となった。 ○…新人からに限らない連続シーズンの打撃タイトル獲得の最長は王貞治の17年(62~78年=本塁打、打点、打率、出塁数)。来季7年連続なら主な選手では落合博満(85~91年=出塁率、打点、本塁打、打率)やイチロー(94~00年=打率、安打、出塁率ほか)に並ぶ。