日本のパトリオット配備地は狙われるは誤解、ウクライナ戦争がはっきり証明
■ 3.ウクライナによるロシアミサイルの撃墜率 ウクライナによるミサイルの撃墜率は、ウクライナに米欧の防空ミサイルを配備した場合とそうでない場合とで異なっている。 今回は、米欧のミサイルが配備されていた場合の撃墜率を参考にする。 そのほかにも撃墜率が異なる要因がある。 ロシアによる多数弾を同時に発射する飽和攻撃の場合と少数弾を発射する場合、またミサイルの種類によっても異なる。 ウクライナが米欧の防空ミサイルを配備している場合でも、飽和攻撃されれば、撃ち漏らすことが比較的多いのである。 巡航ミサイルの撃墜は各種防空ミサイルで容易にでき、2023年5月から9月までのデータでは95%の撃墜率であった。 一方、弾道ミサイルの場合、高性能なパトリオットミサイルが攻撃目標の弾着地付近に配備してあれば、撃墜率は100%に近い。 パトリオットミサイルが配備されていない地域や、このミサイルが枯渇しかかった時には、発射された全数が着弾したこともあった。 ロシアから飽和攻撃をされて、対応が極めて難しかった例として、2023年12月29日の未明から早朝にかけて、各種ミサイルと自爆型無人機を複合させた飽和攻撃があった。 ミサイル122発と自爆型無人機36機を併せると158機(発)だ。 ウクライナは、そのうち114機を破壊した。その撃墜率は72%だった。この時期はウクライナの防空ミサイルが枯渇しつつあったことで、28%の撃ち漏らしがあった。
■ 4.ロシアが発射した北朝鮮ミサイルの欠陥 韓国国防相は6月1日、今年12回の弾道ミサイル発射を受けて、「核ミサイルの能力を持続的に高度化している」と述べた。北朝鮮が各種ミサイルを開発し、性能を向上させていることは事実である。 とはいえ、ウクライナで使用されている北朝鮮製ミサイルは、ロシア製に比べて欠陥が多いようだ。 米国の国連代理大使は、「ロシアは、昨年末からウクライナに対し、北朝鮮製の弾道ミサイルを12回近く使用した。そのミサイルは、ロシアのイスカンデルMミサイルをベースにした火星11号(KN-23)と呼ばれるものだ」と述べた。 また、ウクライナの検察当局は次のように指摘している。 「ロシア軍は北朝鮮製の弾道ミサイル約50発を発射したが、その半数程度が計画通りの軌道を飛行せずに空中で爆発した」 「また、飛来したミサイル21発の残骸を調べたが、空中爆発したミサイルの部品は回収できなかった。北朝鮮のミサイルは、発射に失敗する確率が高いようだ」 ウクライナ発信の情報に信頼性があるのかという疑問もある。 しかし、私は日々公表されるウクライナ空軍の防空情報を見ていて、その中に、ミサイルが途中で落下したという情報があったのも事実だ。 恐らく、それらは北朝鮮製のミサイルだったのではないか。 北朝鮮は、これまでミサイルを発射するたびに、「目標に命中した」と発表している。 しかし、今現実に生起しているロシアのミサイル攻撃とウクライナの防空戦闘の結果からみれば、戦場で使用されている北朝鮮のミサイルに欠陥が多いことは明らかだ。 とはいえ、北朝鮮は今後、この結果を参考にして改良するだろう。