物価安定が最重要、必要ならマイナス金利復活も=スイス中銀総裁
[チューリヒ 22日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)のシュレーゲル総裁は22日、安全資産であるスイスフランへの需要を抑制する必要がある場合にはマイナス金利を復活させる可能性があるとの考えを示した。 シュレーゲル氏はチューリヒでのイベントで、マイナス金利を好む人はおらず、中銀も好んではいないとした上で、「必要であれば次の措置を講じる用意はある」とした。 この発言を受け、ドルは一時、対フランで18週間ぶりの高値に上昇した。 同中銀は2022年9月にマイナス金利政策を解除している。 また、物価安定目標の維持を引き続き金融政策の最重要課題とする考えを示した。中銀が物価安定の目標としている0─2%の範囲内にインフレ率を抑えることが、ここ数年の堅調なスイス経済の主要な要因であることを強調した。 スイス経済は他国と比較しても堅調に推移しており、「中銀は物価安定を維持することで、好調な経済に貢献してきた」と指摘。「今後も物価安定を確保することで貢献し続けるだろう」と述べた。 同中銀は今年3回利下げしており、インフレ率は10月に0.6%と、3年余りぶりの水準に抑え込まれた。市場では、中銀が今年から来年にかけて追加利下げを行うとの期待が高まっている。 為替介入については、国内の状況に焦点を当てた上で決定するとし、「為替操作国」の認定を巡る懸念を一蹴。「為替操作国」とみなされる可能性を理由に、今後為替介入を控えるつもりはないことも示唆した。 米財務省は2022年、スイスが引き続き「為替操作国」の認定基準を満たしていると指摘したものの、為替操作国には認定しなかった。 トランプ氏が次期米大統領に選出されたことを受け、米国内で起きている変化にスイス中銀はどう対応していくかとの質問については、「われわれの使命は明確で、焦点はスイスに当てられている。任務に従う。それが今後行っていくことだ」と述べた。