事故増加や旅行にも影響! 大都市でも路線バスの減便や廃止が続出!!
日本バス協会の調査によると、バス運転士の数は右肩下がりに減少。特に2020年以降の減少率が大きくなっている。西山氏はコロナの影響が大きいと分析する。 「コロナによるリモートワークの普及で自宅勤務を認める会社が増えました。と同時に、毎日出社するわけではないので、通勤手当を減額する会社も増え、定期券の利用者数が大きく落ち込みました。バス会社にとって通勤定期券は大きな収入源。それが減るとなると、経営計画に大きな支障が出ますし、当然、運転士に支払う給与にも影響が及びます」 かつては高給取りといわれていたバス運転士。だが、20年以降は給与が減ったことで退社する運転士がいる一方、薄給でも長時間残業すれば残業手当で収入が維持できるといった考えの運転士がいたことで、運行本数を維持できたのだろう。それが今年の法規制によりいよいよ不可能となってしまった。 「さらに大きいのがカスハラの問題です。ワンマンバスの運転士は大型車を運転するという作業のほか、ドアの開閉、発車、停車時に手すりやつり革につかまっていない人がいないかの確認、運転中に停留所案内放送のスイッチを押す、終点の到着時に車内に残っている人がいないかの確認など、やることがたくさんあります。 この忙しい中、追い打ちをかけるように『車内の両替機で1万円札が崩せないとはけしからん!』『早く下車したいからバス停に着く前に立ち上がったのに、走行中に席を立つなと命令するな!』といったようなクレームをつけられる。 法改正による運転士不足はトラック業界でも起こっており、トラックドライバーの求人は多い。そんな事情から、バスよりカスハラの少ないトラックドライバーに転職するという人もかなりいるようです」 大型2種免許という「資格」を持っているにもかかわらず、安い給料でストレスも多い。そんな過酷な労働環境が運転士不足のベースにあるのだ。 「このような環境とコロナが重なったことで2024年問題について有効な対策を取ることができず、法律が施行されて問題が表面化したというのが、路線バスをはじめとするバス業界で現在起こっていることだと私は考えています」 ■実は40年ほど続く根の深い問題 今回表面化した運転士不足問題だが、業界ではいつ頃から起こっているのだろうか。