事故増加や旅行にも影響! 大都市でも路線バスの減便や廃止が続出!!
路線バスの運転士不足が社会問題となりつつある。地方の利用者が少ない区間だけでなく、都心部の路線でも運転本数が減少。バス会社の稼ぎ頭である各地と東京を結ぶ高速バスも運休便が出るなど事態は深刻だ。今年4月からバス運転士にも適用された時間外労働の上限規制がその引き金といわれているが、専門家に聞くと、業界が抱える多くの問題があった。 【写真】運転士不足を解決する連節バスや自動運転バス * * * ■楽しいはずの修学旅行に暗い影 5月中旬から6月中旬は修学旅行のシーズン。平日の昼間に東京・上野公園周辺に行くと、制服を着た全国各地の学生たちの姿や彼らを乗せた観光バスを数多く見かけた。 そんな季節に飛び込んできたのがこちらのニュースだ。 「修学旅行に運転士を充てるため、富山~東京便など、高速バス60便を一時運休」「大手旅行会社、運転士不足で修学旅行のバスを確保できず、保護者に謝罪」 運転士不足の直接的な要因は、いわゆる「2024年問題」といわれているものだ。働き方改革の一環で法改正された労働基準法によって、トラックやバスなど、車を運転する業務に就く人の残業時間に上限が設けられ、休息時間が増えた。 働く側にとってはありがたいものだが、バス会社ではこの法改正で運転士不足が発生。修学旅行シーズンなど観光バス需要が高まる季節に路線バスを運休させたり、運転士を工面できず、旅行会社からの依頼を断らざるをえない事態となったのだ。 このバス運転士不足の影響は修学旅行のバスだけではない。すでに一般の路線バスにも影響を及ぼしているのだ。例えば北海道の北海道中央バスでは昨年12月に札幌市内の路線を中心に590便を減便・廃止、今年4月からさらに約230便も減らした。新潟県の新潟交通では3月に5~6%の減便を実施した。 この流れは地方だけの問題にとどまらない。4月1日に平日の運行本数を1日290便減らした神奈川県の横浜市営バスが、わずか3週間後の4月22日にさらに77便を削減。千葉市内では1日54便走っていたのがたったの4便になってしまった路線も。東京都内でも足立区のコミュニティバスの一部路線が廃止となるなど、都市部でも路線バスの本数は大きく減ってきている。 都内のバス停で話を聞いてみると「夕方以降、帰りの時間帯のバスの本数がかなり減った」「終バスが夜9時台というのは不便すぎる」といった声が数多くあった。 では、運転士不足の問題は法改正だけが問題なのか。それともほかにも原因があるのか。東京都市大学で公共交通のシステムを研究する西山敏樹准教授に話を聞いた。 ■運転士減少の原因は安い給料とカスハラ