保守派とリベラル派、誤情報を信じやすいのはどちら? 心理学分析の結果は
すでに影響は出ている
■結論 立場や主張の異なる政治団体が選挙へ向けてどのように情報と関わり、拡散させていくかという点に、今回の研究で判明したメタ認知効率の差は重大な影響を及ぼすだろう。おそらく、すでに影響は出ている。保守派のほうが自分の信念を過信する傾向が強いとすると、たとえその信念が間違っていたとしても、誤った情報を信じて共有しやすい可能性がある。 これは、有権者の誤解と二極化を助長しかねない。そして、現にある事実を必ずしも反映していない形で投票行動や世論に影響を与える恐れがある。 また、リベラル派は自らの信念の正確性に合わせて自信の度合いを調整することに長けているかもしれないが、だからといって誤情報の影響を受けないわけではない。入手可能な情報の複雑さと膨大さは、政治的なコンテンツの感情的な性質と相まって、政治的志向を問わず、判断ミスの引き金となりうる。ただし、リベラル派のメタ認知効率は比較的高いため、誤った情報に対してある程度の耐性を発揮する可能性もあり、政治的コンテンツをより批判的な視線で消費できるかもしれない。 ともあれ、より広い文脈で見れば、一連の研究結果は健全な民主主義におけるメタ認知能力の重要性を象徴している。情報を批判的に評価する能力は、誤情報が蔓延している現代においては尚のこと、情報に基づいた意思決定に不可欠である。 もし特定の集団がメタ認知の非効率性に陥りやすいとすれば、誤った情報が不均等に広がっていくことになりかねない。つまり、一部の人々の元により多くの誤情報が集まってしまうということだ。これはエコーチェンバーを生み出し、イデオロギーに基づく分断をいっそう深める恐れがある。そうなれば、国民が重要な問題について合意に達することは著しく困難になるに違いない。
Mark Travers