虎のソナタ ビヤ樽は〝幸運の置物〟 チーム上向いているときはいつも〝サンドバッグ〟だった!?
(日本生命セ・パ交流戦、阪神2×ー1日本ハム=延長十一回、3回戦、日本ハム2勝1敗、18日、甲子園)列島に大雨を降らせた雨雲が抜けると、そこには最高の舞台が整っていた。試合前、ベテラン虎番のビヤ樽こと三木建次は、野次馬根性むき出しで三塁側カメラマン席に入り込み、日本ハム担当記者と新庄監督が話し込むところに首を突っ込んだ。すると、スター監督はそこでこんな話をしていたらしい。 「朝、あんな雨降ってたのにね。こんなきれいで。やっぱり素晴らしいね」 神整備で知られる阪神園芸が、甲子園育ちの新庄監督も改めてうなるほどのグラウンドを用意して待っていた。交流戦開幕カードだった5月28-30日のカード初戦が雨天中止となり組み込まれた振り替え試合だったが、チケットも早々と完売。過去の交流戦の振り替え試合では、中止となってからの期間が短いこともあり阪神といえどもなかなか満員とはならなかった。近年では、2016年6月20日のオリックス戦の観衆は2万6867人、18年6月21日のオリックス戦も同じく2万5187人にとどまっていたが、この日は堂々の超満員だ。 ビヤ樽によると新庄監督は、この日送り出した細野-進藤のルーキーバッテリーへの期待だけでなく、かつての虎風荘の屋上で内野手になるためのヒミツの特訓を繰り返した話など、阪神時代の思い出などもたっぷり語っていたらしい。「記者たちのところから離れるときには『阪神の監督やってくれ~! 現役でもええで!!』なんて声援も飛んでたわ。新庄もペコペコ謝るようなしぐさでちょっぴり気まずそうやったけどな」。交流戦を締めくくる一戦で新庄ハムの〝再訪〟が実現したことを、多くの虎党も大歓迎しているようだった。 しかし…。もう終わったことだから前を向きたいが、昨年に続いてパ・リーグ5球団に負け越すなど阪神には苦しい交流戦となってしまった。ビヤ樽も独特の表現で、今の岡田虎の苦しさを語る。 「僕がキャップだった去年は、僕が余計な質問をしたりしてもチームが調子が良かったから、岡田監督も囲み取材の去り際に僕の靴を踏んづけてくれたりしたんや。機嫌がいいときは、いつも僕が〝サンドバッグ〟になってきた。ことしは僕の靴を踏んでくれたのは2回だけなんや…」