巨人“新顔”25歳は「課題がある」 専門家が指摘…1軍定着に必要な能力
「左投手vs左打者」の特性を生かせない理由
又木は今季1軍2試合で、左打者との対戦打率が.250(12打数3安打3四球)、右打者とは.200(20打数4安打5四球)。左投手対左打者は一般的に投手有利といわれているが、その特性を生かせていない。ストレート、スライダーとカーブの中間で120キロ台前半の“スラーブ”、球速130キロ前後のスライダー、チェンジアップ、カーブを持ち球としているが、左打者の内角をえぐるツーシームやシュートはない。 野口氏は「シュート系がなくても、インコースにストレートを投げ込む力量があれば、投球の幅が広がり、左打者を抑えることはできます。長く第一戦で活躍するには、必要不可欠の能力だと思います」と強調する。 又木のみならず、左投手共通の課題と言えるかもしれない。たとえば、阪神の先発左腕・伊藤将司は昨季21試合で10勝5敗、防御率2.39の安定感を誇ったが、今季は9試合3勝3敗、防御率3.25。5月に不振で出場選手登録を1度抹消されるなど、波に乗れていない。 「伊藤将は一昨年、左打者によく打たれていました(対戦打率.256)が、昨年は内角を突けるようになって左打者を抑え(同.221)、安定感を増した。しかし今季はまたそこが甘くなっています。伊藤将ほどコンスタントに白星を稼いでいる投手にも、そういうことが起きることがあります。150キロ以上をバンバン投げられる剛腕タイプや、必殺の変化球がある投手なら別ですが、又木のようにキレで勝負するタイプには、インコースに投げ込む勇気とコントロールが必須です」 野口氏の恩師で、名監督の呼び声が高かった故・野村克也氏も、投手陣に「インコースに投げられない投手は1軍でお金を稼げない」と“教育”されていた。球界に脈々と受け継がれる鉄則の1つだ。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki