「皿はやや残念」「メインはなぜかハンバーグ」だがプロのこだわりが詰まっている! ガストの「1990円高級フレンチ」は一体何が凄いのか?
ハンバーグを平らげるとほどなくして最後のデザート「ブランマンジェプラリネ」が登場。 「ブラマンジェ」はいわゆるミルクプリンのようなもので、カリカリのプラリネナッツと、「ガスト」と「Restaurant L'allium」のコラボロゴ印刷がされたチョコレートが添えられていた。 以上がコース内容となる。しっかりと食べ応えもあり、メインがガッツリとしたハンバーグであるぶん、スープや前菜は軽い食べ心地となっておりコース全体のバランスも絶妙だ。日常の食事というより「ちょっとしたご褒美」として楽しむのであれば1990円という価格は妥当だと筆者は感じた。
■提供は「人」がタイミングを見て行う 近年、「ガスト」では配膳ロボットの導入が進み、店内をネコ型ロボットが走り回る姿はもはやお馴染みの光景だ。 しかし、今回のコースはすべて人間のスタッフから提供された。前菜とスープ、ハンバーグとパン、デザートの計3回に分けてサーブされたが、その都度、スタッフは筆者の食事の進行具合を気にかけていたように思う。分けて提供されることで、食べ手としては料理一品一品に向き合えた。
その間、店内にはネコ型ロボットがせわしなく徘徊していたが筆者のテーブルにやってくることはなかった。こうした点も1990円という価格に見合った価値だと考えられる。 ■値段以上に凄い? シェフたちの心意気を感じた 今回のフレンチコースは、「ガスト」の安価なイメージもあって、驚きを持って受け入れられている。その狙いについても、すでに言及する記事は少なくない。 ただ、外食メディアで編集者をしてきた筆者には、今回のフェアでは「ガスト」という多くの人にとって身近なお店で、高級フレンチの魅力を知ってほしいというシェフや開発者たちの意気込みを勝手ながら感じた。
ハンバーグという身近な料理をフレンチ仕立てにしていたり、前菜・メイン・デザートと一皿ずつ提供されるコース形式の食事だったり、フレンチやコース料理に馴染みのない人にとっての入門編となるかもしれない。 もちろん、本物の高級フレンチと比較すると全くの別物ではあるが、慣れない人がいきなり高級店に行くのも緊張する。気軽に入れるファミレスで、普段は触れない素材や仕立ての料理を知ることで、フレンチの魅力を知れるのではないだろうか。
さらに、今回のフェアでは小学生以下限定で「お子様幸せフレンチプレート」990円も用意されていた。先述のコースの内容を子ども向けにワンプレートにまとめたものだ。通常、高級フレンチは子連れでは難しい店も多い。そんな中でお子様メニューも用意し、子連れでも気兼ねなく本格的なフレンチを楽しむというシーンを創出しようとしているのかもしれない。 食事中には卓上のタブレットに「至福のフレンチコース」に関してのアンケート回答のお願いが表示された。今後、「ガスト」としても反応を探りながら、このフェアを布石に様々な取り組みを仕掛けていくのだろう。
大関 まなみ :フードスタジアム編集長/飲食トレンドを発信する人