F1第13戦木曜会見:躍進するPUカスタマー勢にも勝機あり。予算制限の導入により、ワークスチームのメリットは減少か
史上最多24戦が予定される今シーズンも、折り返し点を過ぎた。第13戦ハンガリーGPの会見に出席した5人は、前半12戦で大活躍したドライバーもいれば、悔しい思いをしたものもいる。まずは直近2戦で連続6位入賞と絶好調のニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)から。 【写真】2024年F1第13戦ハンガリーGP FIA会見 ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース) Q:素晴らしい走りを楽しんでいると思います。このマシンにどれくらい自信がありますか? ヒュルケンベルグ:間違いなくいい感じだよ。すでにオーストリアでよかったのが、シルバーストンにアップデートを持ち込んだら、パフォーマンスがさらに向上したからね。それまで11位のレースばかりだったのが、ようやく結果が出た。僕らのチームは、間違いなく今季のサプライズと言っていいよね。 Q:去年のハースは後半失速して最下位に終わりました。今年の進歩の速さには驚いていますか? ヒュルケンベルグ:いや、実はバーレーンの冬季テストが、意外にいい感じでね。予想以上にいい状態にあると感じていたんだ。もともとスタッフは優秀だったし、すべては技術部門の組織再編のおかげだと思う。とにかく順調で前向きで、レースが楽しいよ。 レースを戦うことが楽しくてしょうがないというヒュルケンベルグ。対照的に苦しいシーズンを送っているのが、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)だ。 Q:フェルナンド、今季のマシンの何に最も苦労しているのでしょう? アロンソ:ひとつだけではない。運転しにくいだけじゃなく、時々予測不能の挙動を見せる。クルマへの信頼がなければ限界までプッシュできないし、ドライバーの自信も失われる。今季はチーム間がすごい接戦だから、そんな状態でもスタートやセットアップの選択で、必要以上のリスクを負うこともある。FP3の時点で1、2ポイントしか獲れそうにないとわかって、ガラッとセッティングを変えたりね。 Q:今年後半には、そんな状況は変わりそうですか? アロンソ:僕が個人的に願うのは、冬の時期に自分たちがやってきたことに、もう少し自信を持つこと。そして来季がよりよくなるよう、開発の方向性をしっかり見つけることだと思う。今年はもう、トップ4チームには手が届きそうにない。だったら自分たちの開発、自分たちのクルマへの信頼に集中し、来年をもっとよくする必要がある。 今季のアストンマーティンの不振は、技術陣が開発の方向性を見失い、自信を喪失していることも関係している。そんなアロンソの苦悩と焦燥が、感じ取れるコメントだった。 ここ1、2年のF1は、ワークスチームと同じパワーユニットを搭載するカスタマーチームの方が高い戦闘力を示すことがある。去年のアストンマーティン対メルセデス、マクラーレン対メルセデス、そして今季のハース対フェラーリなどだ。 Q:最近のカスタマーチームの活躍を見ると、もはやワークスに絶対的な優位はないと言えますか? アロンソ:そう思うし、最大の理由は予算上限制度だよ。ワークスが無制限の予算を使ったりテストしたりできなくなったからね。とはいえワークスでないことのデメリットも、もちろんたくさんあるけどね。 オスカー・ピアストリ:F1で勝つために、ワークスチームである必要はないと思う。フェルナンドが言ったように、ワークスだったらエンジンを思い通りに開発し、望み通りにクルマに搭載できる。それは間違いなく、大きな利点だ。でもコスト上限時代の今、その重要性は以前よりもずっと低くなっている。カスタマーにも、大きなチャンスがあるということだね。 今回の出席者では、ヒュルケンベルグ、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)の3人が、来季は誰がチームメイトになるか決まっていない。 Q:2025年のチームメイトは誰を希望しますか? ガスリー:僕に決める権利はないけど、最速のドライバーを歓迎したい。そしてそれが誰であるかは、みんな知っていることだ。でも今は、待つだけだよ。 シートが決まっていないなかで最速のドライバーといえば、ガスリーはカルロス・サインツを望んでいるということか。「最速のチームメイト」という点では、他のふたりも同意見だった。 Q:すでに誰と組むか、わかっていますか? アルボン:正直、まだどうなるかわからないし、あまり気にしていない。でもピエールと同じく、速ければいい。中団での戦いで、1ポイント1ポイントが重要だからね。 ヒュルケンベルグ:同感だ。今のF1では、ふたりの強力なドライバーが必要なんだ。それが誰であろうとね。 [オートスポーツweb 2024年07月19日]