自動車メーカー「勝ち組と負け組」の明暗分かれた? 知っておくべき「決算書」の見方は? 半期決算で見る「日産とスズキ」の違いとは
各社の途中結果はどうだった? 注目したいスズキと日産の違いとは
ちなみに今回の中間決算はトヨタ、ホンダ、マツダが「増収減益」となっています。 まずトヨタの利益増減要因は、認証問題による生産停止の影響が大きい事が解ります。 スズキとスバルは「増収増益」。 中でもスズキは売上が11.7%増の2兆8550億円、利益(営業利益)は40.7%増の3349億となっています。 ちなみにスバルの増益要因は為替の影響が大きいですが、スズキはそれ以外の要因が儲けに繋がっています。 一方、「減収減益」だったのは日産と三菱です。 中でも日産の売り上げは1.3%減の5兆9842億円、利益(営業利益)は何と90.2%減の329億円と全く儲かっていません。 この結果から、経営の立て直しに向けて生産能力を20%削減、9000人の人員削減を行なう方針を掲げています。 このように中間決算が「明」と「暗」な結果となった2社ですが、その要因の1つは「アメリカ」と「中国」との関わり方でしょう。 この2つの地域は皆さんもご存じ通り、世界で圧倒的とも言える巨大なクルマ市場です。 ちなみに日産はどちらも重要なビジネスマーケットとなっていますが、最近はこの市場に様々な変化が起きています。
まずはアメリカです。 日本と違って「その場に在庫としておいてある新車を買う」のが一般的です。 筆者も現地のディーラーに行った事がありますが、広大な土地に新車がズラーっと並ぶ光景に圧倒されました。 しかし、コロナの影響と半導体不足でクルマの生産は停滞、一気に供給不足となりました。 この頃はディーラーも売るクルマが無いので苦労したようですが、逆を言えば何もしなくても売れたのです。 ただ、これらの問題が解決すると逆に在庫過多となり、それを売るために値引きに頼るビジネスを強いられています。 ちなみに半期の販売台数は1.6%減の159.6万台とそれほど減っていませんが、この値引きの影響が決算書の減益要因の「販売パフォーマンス(=販売報奨金)」に表れています。 この販売報奨金は他のメーカーも行なっているモノですが、-2000億円と膨大なのはそれに頼らざるを得ない商品側にも問題があったと、筆者は考えています。 ちなみに内田社長は「アメリカの急速なHEVシフトが読めていなかった」と語っていますが、それならばHEV化が更に遅れるスバルも同じく大打撃を受けているはず。 でも、現実はそんな事はありません。つまり、日産はユーザーが求めるクルマを出せていなかったのです。 もちろん、これまで新車投入が全く無かったわけではありませんが、ラインアップを増やせないため一つの車種のカバー領域が広く、それが故にニーズに合致しにかった所もあるでしょう。