ついに始まった日本版「信用スコア」の衝撃と不安、期待高まる一方で目的外利用などのリスクも
クレジットカードの作成や消費者ローンの契約などで利用される個人の信用情報。その活用をめぐり、新たな動きが出てきている。 【画像】「共通信用スコア」のサービスイメージ 信用情報を収集・管理する信用情報機関シー・アイ・シー(CIC)は11月28日、「クレジット・ガイダンス」という新サービスを開始した。同社はこれまでもクレジットカードなどの利用情報を開示していたが、新たに始めたサービスは個人の信用力を200~800点で独自にスコア(指数)化し、開示するものだ。
スコアは、「客観的な取引事実(支払い状況、残高、契約数、契約期間、申込件数)」に基づいて算出されており、年齢・性別・勤務先・居住地などの属性情報や年収、資産などは考慮されていない。 本人が信用情報やクレジット・ガイダンスのスコアを確認するには、まずナビダイヤルに電話をかける必要がある。サービス開始日にはアクセスが集中し、電話がつながりにくくなる事態が発生した。CICの担当者は「それまで1日あたり1000件程度だった開示件数が10倍近くに達し、想定以上の反響だった」と話す。
■設立以来の大事業 1984年にクレジット事業者の共同出資により設立され、40周年を迎えたCIC。担当者は今回のサービスについて、「設立以来の大きな取り組み」と話す。 これまで同社はクレジットカード会社などから利用情報を集め、それらのいわゆる「生データ」を、本人や加盟するクレジット事業者に開示してきた。同じ「情報の開示」とはいえ、生データと、それを分析したスコアとでは情報の質が大きく異なる。「われわれは割賦販売の信用情報を100%カバーしており、8億件もの充実したデータがある。これを利活用したいという思いがあった」(前出担当者)。まさに今回のサービスは、同社の事業領域を一歩拡張したものといえる。
業界関係者によれば、「CICは以前からスコアリングサービスを始めようとしていた」という。しかし、収集した情報は割賦販売法に基づいて集めたもの。「与信目的以外の利用が制限されているので、かつては経済産業省などから反対されていた」(同)。サービス開始が認められた背景は不明だが、与信目的の範疇と判断された可能性が高い。 消費者の信用情報のスコア化は、海外では一般的となっている。例えばアメリカでは、大手信用情報機関3社が共同開発したVantageScore(バンテージ・スコア)や、フェア・アイザック社(FICO)が提供するFICOスコアが広く利用されている。それぞれ算出方法などに違いがあるが、300~850点でスコア化され、本人も確認できる。