「娘を助けて」…愛娘が元夫に監禁された!解放を懇願するロシア人母親を襲った「さらなる絶望」
「NO WAR 戦争をやめろ、プロパガンダを信じるな」...ウクライナ戦争勃発後モスクワの政府系テレビ局のニュース番組に乱入し、反戦ポスターを掲げたロシア人女性、マリーナ・オフシャンニコワ。その日を境に彼女はロシア当局に徹底的に追い回され、近親者を含む国内多数派からの糾弾の対象となり、危険と隣り合わせの中ジャーナリズムの戦いに身を投じることになった。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション ロシアを代表するテレビ局のニュースディレクターとして何不自由ない生活を送っていた彼女が、人生の全てを投げ出して抗議行動に走った理由は一体何だったのか。 長年政府系メディアでプロパガンダに加担せざるを得なかったオフシャンニコワが目の当たりにしてきたロシアメディアの「リアル」と、決死の国外脱出へ至るその後の戦いを、『2022年のモスクワで、反戦を訴える』(マリーナ・オフシャンニコワ著)より抜粋してお届けする。 『2022年のモスクワで、反戦を訴える』連載第26回 『インタビューの内容を都合よく切り抜かれて…かつて英雄と呼ばれた誇り高き女性が数多の裏切りによって迎える「悲惨すぎる末路」』より続く
汚職がはびこる国で良かったこと
電話が鳴った。 「もしもし。とんでもなく簡単だよ」 電話からわたしたちの住む居住区の隣人の元気な声が聞こえた。 「親がいなくても4万ルーブルで子供に外国旅行用パスポートを作ってくれる会社をモスクワで見つけたよ。出生証明と居住証明があればいいんだ」 わたしは躍り上がらんばかりだった。人生で初めて、ロシアに汚職がはびこっていることを喜んだ。 夕方になってベルリンの中心部に散歩に出た。フリードリッヒ通りを歩き、新鮮な空気を吸い込んだ。ここ数日の出来事で、ずっと続けてきたランニングをするエネルギーもなかった。 通り過ぎる人びとの顔を眺めた。子供連れの女性たちがたくさんいた。笑い、夢中になって何か話している。見ていて羨ましかった。彼女たちの生活は幸せで落ち着いていて、何年も先までの計画がある。 ところがわたしは明日をも知れぬ身だった。新しい毎日が、すぐに解決しなければならない新たな問題を引き起こしていた。 でもわたしは、なんとかなるような気が国でう少しすればアリーナと一緒になれる、わたしたちは何の憂いもなくフリードリッヒ通りを散歩できるだろう。
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