今平周吾が使用するヤマハ「RMX VD/R」はフェードが打ちやすいツアーモデル【ヘッドデータは嘘つかない!】
ヤマハの最新モデル「RMX VD」シリーズは、オールアスリートモデルの「VD/X」、ネオアスリートモデルの「VD/M」、そして今回紹介するツアーアスリートモデルの「VD/R」(数量限定販売)の3モデルがラインナップされている。2023年、日本シニアオープンに優勝した藤田寛之は同シリーズの「VD/M」を使用していたが、ツアーアスリートモデルに位置付けられた「VD/R」も並行してテストしているという。「VD/M」と「VD/R」の違いも含め、クラブ設計家の松尾好員氏とともに検証してみた。
球筋を作ることのできるツアーアスリートモデル
「RMX VD」シリーズに搭載されている「ブルズアイフェース」は、有効打点エリアに飛びの三要素(打ち出し初速、打ち出し角、バックスピン)に影響を与える機能を集中させることで、弾道の最適化を目指した。ツアーアスリートモデルに位置づけられた「VD/R」は、ソール側に上下(トウ、ヒール方向)に重心を調整できるスライドウェイトを搭載し、自分好みの「つかまり」を設定できるようになっているのが特徴だ。 クラブ設計家の松尾氏は、「VD/R」のヘッド慣性モーメントの小ささの利点に注目した。 ヘッド慣性モーメントとは、スイートスポットを外したときに、どれだけヘッドのブレを抑えてくれるかを判断できるデータになる。基準値が「4600~4799g・㎠」という中で、「VD/R」 は4147g・㎠と「非常に小さい」数値となっており、ミスへの寛容性という点ではあまり期待できない設計となっている。 最近のドライバーは、ヘッド慣性モーメントが大きいものが多く、「ミスに強い」ことをウリにしている。しかしここで注意しなければいけないのは、ミスにも種類があることを忘れてはいけない。 大慣性モーメントのクラブは、スイートスポットを外したときのヘッドのブレが抑えることができるため、打球の直進性が保たれる。しかし、大ヘッド慣性モーメントのドライバーは「ヘッドが返りづらい」という特徴があるため、ダウンスウィングで生じた軌道のズレやフェース管理の修正が難しくなってくる。 フェースの向きが想定よりもオープン(開き気味)でインパクトをしたときは、そのまま右方向に飛んでしまう恐れがあり、スウィング中に生じる「フェース向きのミス」に対しての修正力の低さが大慣性モーメントヘッドの弱点と言える。 ツアーアスリートモデルに位置づけられた「VD/R」のようなヘッド慣性モーメントの小さいドライバーは、スウィング中のフェース向きのミスに対する修正力が高く、「自分の思いのままに打球をコントロールしたい」、「繊細なフェースコントロールで球筋を作りたい」というゴルファーには、うってつけな1本だと言える。 打点の安定しないゴルファーにとっては、高慣性モーメントヘッドはその寛容性がお助け機能として働くが、正確に球をとらえることのできるプロやアスリートゴルファーにとっては、逆に扱いにくい機能に感じることもあるわけだ。