畑岡奈紗の失格処分を“米ツアーの大先輩”宮里美香はどう見た? 「メディアからの物言いは聞いたことがない」
「勝手な憶測で言える立場ではないけれど…」
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「ニュースを見て私もビックリしましたよ。米女子ツアーに長らくいましたが、あんなケースは聞いたことがないです」 長らく米ツアーを経験した宮里美香でも、畑岡奈紗の失格処分は初めて聞くケースだったようだ。
宮里に聞いたのは、米女子ツアーの「ショップライトLPGAクラシック」で畑岡奈紗が第2ラウンド(現地時間8日)開始前に失格処分となった件についてだ。 畑岡は第1ラウンドの最終9番(パー5)で、茂みの中に打ち込んだ球を見つけるまで、制限時間3分のところ、25秒超過していたということで失格となった。 この場面に疑義を呈したのが、球の捜索に立ち会っていた米テレビ中継局のリポーター。2日目の朝に映像を検証し、3分25秒かかっていたことが明らかになったあと畑岡に失格が告げられた、というのが事の顛末。 本来であれば、紛失した球とみなし、1罰打を加えて2打目地点から4打目を打つ必要があった。その誤りをスコア提出前に訂正しなかったため“失格”となったわけだ。 宮里にこの件についての見解を聞くと次のように話した。 「結果的に25秒オーバーしていたのが分かる証拠があれば、それが覆ることはないですからね。私も記事を読んだだけで、その場にいたわけじゃないので状況を把握はできないし、勝手な憶測であれこれ言える立場ではありません。ただ、その場では指摘がなく、翌日になって映像の確認をしたということなので、なんとも判断が難しい。私が米ツアーにいた頃は、注目選手には絶対にカメラがついていて、試合を見ている視聴者から処置の間違いを指摘されている米国選手がいたのはよくありましたよ。でもメディア関係者から物言いが出たのは、今まで聞いたことがないです」
「有名選手だからこそだけれど、悔しい」
宮里はこうも続ける。 「でもテレビに映るということは、日本の選手がそれだけ注目される位置にいるということ。有名選手だからこそ、こうしたことも起こるのですが、それでも悔しいし残念ですよね。奈紗ちゃんはパリ五輪出場に向けて大事な試合でしたし、本人が一番つらいと思います。うちらがどうこう言える問題ではない」 一部の意見では米ツアーにおける“アジア選手への差別”のような捉え方もあるが、「ちなみに私が米ツアーにいた頃は、日本の選手に対して、そのような細かいところで嫌な気分になったことはなかったです。あとは本人(畑岡奈紗)がどのように今回の件を捉えて消化しているかにもよりますが、もちろん悔しいはずですよ」 そのうえで、自身の経験を踏まえ、選手とキャディーの間で、決め事はあってもいいと話していた。 「ボールを探す時間が長くなると、自分でもなんとなく分かる部分もある。アバウトだから気をつけようがないかもしれないけれど、キャディーさんとそこはしっかりと、例えば時計を見たりするなど、想定して準備をしていけばいいと思います」 宮里は言葉を慎重に選んでいたが、最後は「もう過ぎたこと。五輪出場に向けて全力を尽くしてほしい」と、米ツアーの先輩として畑岡にエールを送っていた。
宮里美香(みやざと・みか)
1989年10月10日生まれ、沖縄県出身。8歳から競技を始め、2008年にプロ転向。日本ツアーを経験することなく2009年から米ツアーに参戦しマスコミからも大きな注目を集めた。10年、13年の国内メジャー「日本女子オープン」で優勝。12年「セーフウェイクラシック」で米ツアー初優勝を果たし、日本人女子最年少記録を樹立。13年の国内メジャー「日本女子オープン」で10年に続き2度目の優勝。最年少で同大会の複数回優勝を達成した。17年に米ツアーの賞金シードを喪失し、19年から日本ツアーを主戦場にしている。21年8月にレーシングドライバーの中山友貴さんと結婚した。
キム・ミョンウ