早大が春秋連覇 主将の印出太一「ホッとしてる気持ちとうれしい気持ち、半分」
<東京6大学野球:早大4-0明大>◇優勝決定戦◇12日◇神宮 早大が勝負の一戦を制し、99周年の東京6大学で春秋連覇を達成した。リーグ戦優勝は48度目。エースの伊藤樹投手(3年=仙台育英)が3安打完封。主将の印出太一捕手(4年=中京大中京)や副将の吉納翼外野手(4年=東邦)らを中心に早慶戦連敗から立て直し、頂点をつかんだ。早大は20日開幕の明治神宮大会で日本一を目指す。 【写真】胴上げされる早大・小宮山監督 ◇ ◇ ◇ 春秋連覇を決める直球をミットに収め、キャプテン印出は思いを握りしめた。“副キャプテン翼”こと吉納はライトから駆けながら、歓喜の応援席を見た。2人でワセダを引っ張った。印出は「素直にホッとしてる気持ちとうれしい気持ち、半分です」と言った。 早慶戦に連敗し、主将は「みっともない試合」と表現した。V決定戦までの約40時間、もがいた。特に楽天に指名された3番吉納は打率2割少々と苦しむ秋。「ノックを受けてる時もバッティングの動きをやったりしてたんで、相当考えているんだろうと」と証言する。「でもそういった姿が後輩たちにも響いてくると思うんで。リスペクトです」と友をねぎらった。 ともに愛知から早大の門をたたいた。寮の部屋は隣同士。吉納は「寝癖や寝相が…」と印出のプチ情報を暴露しつつも「中高とライバルでやってきて、こんなに仲良くなれるものなのか」と4年間を振り返る。苦しくても表に出さない主将を「見習わないと」と尊敬する。「いい距離感」との言葉通り、横一列の両端同士で校歌を聴いた。仲間たちをはさみ込むように。 進路は分かれる。ドラフト指名がなく社会人野球を志す印出は「自分を信じてやれる力があるから翼は指名された。プロの世界でも絶対にやってくれると僕はみてます」と友を誇らしげに推す。ダブルで伝統のWをまとえるのも多くてあと3試合。いつかまた同じ舞台で-。日本一になって笑顔で別れる。【金子真仁】 ▼早大が明大との優勝決定戦を制し、2季連続48度目の優勝。早大のリーグ連覇は、重信(現巨人)茂木(現楽天)石井(現日本ハム)らを擁した15年春秋以来9年ぶり。 ▼早大・伊藤樹が完封勝利。リーグの優勝決定戦は通算17試合目になるが、完封勝利は38年春の清水秀雄(明大)、39年秋の高木正雄(慶大)、51年春の末吉俊信(早大)と山本治(慶大)、62年春の山崎武昭(法大)に次いで62年ぶり6人目。