「本当に苦しかった」、「悔しくて寝られなかった」 試合直前練習で7人しか集まらない危機的状況を乗り越えて全国ベスト4 長崎県立大の主将を支える恩師からの教え<準硬式・全国大会(清瀬杯)>
おかげで、藤村は最後の1年で県内無敗のまま高校野球を終え、いまもなお主将としてチームを引っ張るうえでも、指針になっている。 ただ、藤村にとってチームを引っ張る、と言っても重みが違う。藤村は主将でありながら、監督として采配を振るう。プレーイングマネジャーなのだ。 というのも、長崎県立大は指導者がおらず、練習はもちろん、試合も選手たちだけでやらなければならない。藤村は主将としてスタメン決定や作戦、さらにサイン出しに選手交代とあらゆる役割を担う。そして練習になれば、メニューの決定や練習試合の調整も担当するという。あらゆる重責を背負う分、苦労は絶えない。 「自分のことだけを考えていればいいわけではなく、全体を見渡すので本当に悩みます。なので、時々メンバーや采配については、同級生に愚痴をこぼされることがあります。それで考えすぎて夜寝られないことも正直あって、辛いこともあります。 実際、春の九州選手権では、勝てば佐賀県の全国大会に出られた試合で負けた時、悔しくて寝られなかったんです。 他にもリーグ戦優勝が危ういことがあったり、九州選手権で変な負け方をしたり。試合前日の練習なのに、7人しか集まらないなど、本当に苦しかったです。でも、そこで愚痴をこぼすことは簡単だと思いますし、『弱音を言っても状況は変わらない』って開き直って、取り組んだおかげで、ここまで来ることができました」
大崎時代のチームメイトのうち、数名が準硬式の世界におり、佐賀県で開催された文部科学大臣杯第76回全日本大学準硬式野球選手権大会も現地観戦して、「なんで出られなかったんだろう」と元チームメイトに対する悔しさを糧に、今大会へのエネルギーを蓄えてきた。 こうした苦労があったから、最後のアウトは反省をしながらも、グラブを突き出すように使って捕球。ガッツポーズが思わず出てしまったのだろう。とはいえ、日本一までは道半ば。準決勝・立命館大にも勝利し、日本一へもう一歩近づけるか。