「メルカリ先生」とつくった「メルカリ教室」は、なぜ価値を生み出すのか
サロンメンバーはアイテムの紹介やメルカリの使い方だけでなく、メルカリに対する意見を発信している場合もあります。サロンメンバーから発信される情報は、信頼性が担保されていなければ意味がありません。そこで、メルカリに対して正当な要望や主張を発信していたユーザーもあえてメンバーとして加わっています。 そのようなファンと会い、直接話してみると、メルカリに対して伝えたい思いがあり、ただの批判ではなくサービス内容について真摯に提案としてのフィードバックをもらえる方だと感じ、一緒に活動してもらうことになりました。 このように、ポテンシャルユーザーに対してだけでなく、むしろメルカリの中の人に対して発信してくれることも少なくありません。メルカリの新鮮な情報をサロンメンバーへ提供していくことによって、メルカリ自身がフィードバックを得られる効果もありました。 このように、誰よりもメルカリを使っているファーストフォロワーとしてのサロンメンバーが顧客と企業双方にベクトルの向いた活動を行っていくことで、サービス体験をよりよいものにしながら、その価値を伝えていくことを継続的に行っているのです。 ■メルカリの価値の伝えかた メルカリの価値の伝えかたを整理すると、図4-5のようにまとめることができます。 このように、16名のサロンメンバーに対してメルカリ関連の情報を独自にキュレーションして公開。その情報をもとに、サロンメンバーが各自のSNSアカウントで自身の特徴を生かしながらコンテンツを発信します。サロンメンバーにとってはメルカリからの情報が公式のお墨付きとなっていることと同時に、ポテンシャルユーザーにとってはサロンメンバーからの情報が、メルカリを始めるための後押しにもなっている点が特徴的といえます。 また、サロンメンバーの活動にも任期を設定しており、限られた期間のなかでモチベーションを維持しながら活動してもらうための工夫も見られます。 メルカリとサロンメンバーが1つのチームとなって価値を伝えていくことによって、メルカリの経済圏が広がっていくのです。 上村 一斗(うえむら・かずと) 2016年1月にメルカリにJOIN。新 規サービスのCSチーム立ち上げ、採用・育成を担当する部門のマネージャーやCommunityチ ームの立ち上げなどを経て、現在はコミュニティ運営やメルカリ教室事業を担当。 ●https://jp.mercari.com/
高橋 遼