中国・珠海の車暴走事件、当局が現場の献花など撤去 取材も制限
[珠海(中国) 13日 ロイター] - 中国南部の広東省珠海市で自動車が暴走して大勢の人をはねた事件で、当局は13日、事件現場に供えられていた花輪やろうそくなどを撤去した。 事件は11日夜、離婚調停に腹を立てた男がスポーツセンター周辺で運動していた人々に車で突っ込み、35人が死亡、43人が負傷した。 事件を受け、中国のソーシャルメディア上では、政府の対応の遅さへの不満や、相次ぐ凶悪事件の国民の心理的な影響を懸念する声などが投稿されたが、当局にすぐに削除されている。 中国の短文投稿サイト運営、微博(ウェイボ)は、死者数に言及したハッシュタグを検閲した。 事件現場周辺は立ち入りが制限され、警備員も配置されたが、13日も生花を配達するバイク便の姿が複数あった。 当初、花を手向ける人々への取材が許されていたが、その後、数名の警備員が記者に対し、取材や献花に添えたメッセージの撮影をしないよう伝えてきた。 国営の中国中央テレビ(CCTV)は、昼の30分間のニュースでこの事件に触れなかった。代わりに、習近平国家主席がアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するためペルーに向けて出発したことを伝え、放送時間の一部を珠海市で開催中の中国最大の航空ショーに割いた。 他の国営メディアも、習主席のペルー訪問のニュースを大きく扱った。 今回の事件と航空ショーとの関連を示す兆候はない。 香港浸会大学で中国の検閲を研究しているローズ・ルーチー氏は、珠海での情報規制の仕方は中国で死者が多数出た他の事件と一致していると指摘。 「こうした事件は全て、情報をコントロールするために検閲される。検閲は普通のことだ。警察の声明が唯一の公式説明となり、人々がそれに異議を唱えたり、議論したりすることは許されない」と述べた。 「目的はパニックを抑えることだと思う。日本人学校に通う男子児童が刺殺された事件のような過去の事例と同様、模倣行為を防止しようとしている」と分析した。 珠海の事件に日本人が巻き込まれた形跡はないが、北京の日本大使館は12日、中国に住む日本人に対し、日本語で話すときは声を小さくし、夜間の外出を避けるよう求める文書を発表した。 新華社が12日夜に報じたところによると、習近平国家主席と李強首相は、地元当局に負傷者の治療と事件の調査を開始するよう指示した。