出産や死…演じる高校生の“声”を反映 愛知豊橋で5日からプロ指導の劇上演
オーディションで選ばれた現役高校生18人が、プロの演出家たちと取り組む演劇公演「女子にしか言えない~プールの底で見た、私の幻燈(げんとう)~」が5日から2日間、愛知県豊橋市の穂の国とよはし芸術劇場PLAT(プラット)アートスペースで行われる。出演は公募生徒のみで、プロのスタッフが指導し、有料上演。高校生のリアルな声を脚本の細部に反映させるなど、異例の公演で注目を集めている。
高校生と創る演劇 3年目の今年は書き下ろし新作で挑戦
取り組みは、芸術文化の発展を地域活性化につなげようと、同劇場が2014年度から始めた。初年度は「転校生」(作=平田オリザ、演出=広田淳一)、2年目は「赤鬼」(作=野田秀樹、演出=黒澤世莉)を上演した。本年度は、劇団□字ック(ロジック)の劇作家・演出家の山田佳奈さん(31)が公演のために書き下ろした新作。大枠だけ事前に決め、その後開いた出演者参加のワークショップで、高校生が語った言葉を、せりふに採用した。 山田さんは全国版演劇ポータルサイトが2014年に開いた演劇祭で、代表作「荒川、神キラーチューン」でグランプリを獲得。男女の心の深層をリアルに描き、疾走感ある演出などに定評があり、音楽フェス出演や映画制作など活動の幅を広げている。 「女子に―」は、出産や死など命に関わるテーマについて、高校生の何気ない会話で展開する物語。豊橋市を中心とした愛知県東三河地方の高校生18人が出演し、裏方として高校生12人も舞台を支える。 出演者の1人で高校3年の女子生徒(17)=豊橋市=は、「(山田さんから)気持ちと体は連動すると教えられた。表現の幅を広げるために、人間観察をして、いろいろな表情を学ぶようにした」と演技に磨きをかける。将来の夢は国際的に活躍する女優。あこがれは米女優のセレーナ・ゴメス。ユニセフ大使としても活躍する彼女に影響を受け「自分の力で稼いで、支援していくことはすごいと思う。自分の活動で世界の人たちが笑顔になってくれるようになりたい」と先を見据えた。