出産や死…演じる高校生の“声”を反映 愛知豊橋で5日からプロ指導の劇上演
高校生の本心・演技に反映 人間形成の場にも
高校生と取り組む演劇は「初めて」という山田さんは、「1歩進んだら3歩も4歩も下がるという繰り返しだが、本番までにはお客様からお金をいただけるレベルまで完成させる」と意気込む。 稽古では出演者に寄り添い、高校生の本心が演技に反映されるように導く。例えば数人の生徒がランニングの後に愚痴をこぼす場面の練習中には、出演者に「何か逃げたいと思うことはないか」と問いかけた。学校の課題、家庭での問題など発言が相次ぐと、それぞれの問題から逃げるように走るように指示。具体的にイメージして走ることにより、演技に深みを持たせた。 「公演を成功させることはもちろん、参加した高校生にとって、人間形成の場にしたい」という思いも込める。現代の高校生はルールに沿って動く一方、ルールを気にしすぎて自分の考えを出さない傾向を感じるという。「演技をやってみてというと『こんな感じでいいですか』とこちらの様子をうかがうケースが多い。まずは自分の考えで表現すればいいのにと思う。自分のことを許すようになっていけばいい」と期待を込める。 高校生の本音を生かした本作は「大人に見て欲しい」と願う。「高校生を目の当たりにして、若者との意思疎通を図るきっかけになるのでは」。高校生のさまざまな思いや本音を、舞台を通じて訴えかける。 (斉藤理/MOTIVA)