名スカウトが選ぶ春のセンバツ甲子園注目のドラフト候補13人
春のセンバツが始まった。第89回選抜高等学校野球大会は、第2日を終えたが、すでに敗退したチームも含め、ネット裏のプロスカウトが熱視線を送る今秋のドラフト候補達が複数出場している。ヤクルトのスカウト時代に古田敦也らを発掘した片岡宏雄さんに元プロスカウトの目で注目の選手をピックアップしてもらった。 今大会のドラフト候補は不作だという。 「清宮が注目を浴びているが、全体的に不作だ。特にピッチャーがいない。あくまでも候補として名前を何人か挙げたが、プロスカウトの世界で言うB評価の投手が多い。誰が見ても間違いない1位候補、いわゆるA評価の投手は見当たらない。ただセンバツは、まとまりのある“春先向き”の投手がチームを引っ張ってくる傾向にあるし、選手は成長途中。春から夏に大きく変わるので、各スカウトも定点観測のつもりで、大きくリストを広げて去年秋からの成長度や、夏までの課題の修正能力などを見ていくものだ」 ピッチャーは6人。 右腕が竹田祐(履正社)、山口翔(熊本工)、金久保優斗(東海大市原望洋)、三浦銀二(福岡大大濠)で左腕が池谷蒼太(静岡)、桜井周斗(日大三)の2人だ。 履正社と日大三が初日に直接対決して、竹田と桜井がマッチアップ。桜井は9回に崩れたが、8回まで13奪三振を奪うピッチングを見せた。ストレートは140キロ前後で、武器とするスライダーは鋭く、履正社の3番を打つ注目のドラフト候補の一人、安田尚憲から、昨秋、清宮幸太郎(早実)を5打席連続三振に打ち取った話題のスライダーで連続三振。一方、竹田は174球の完投。こちらはストレートが135キロ程度で、13安打、10三振、5失点。もう一人のドラフトの逸材、日大三高の金成麗生との直接対決は4の1だった。 「日大三高の桜井は上背がないが、リストが使えて球離れがいい。豪腕ではないが、ボールは低めに集まるので左のワンポイントで育てて使いたいと考える球団はあるのかもしれない。ボールに角度があり、スナップを効かせたスライダーがよく落ちる。右打者にはクロスファイファーに左打者はインサイドから外へボールが流れるため左打者はタイミングをとりにくいのだろう。最後はバテたが、バッティングもいいし野球センスを感じる。 履正社の竹田は、まだ下半身に安定感がない。序盤の制球の乱れは、そこが原因。成長を見守りたい。現状では、Bの下の評価か。初日に出場した3投手で、最も伸びシロと素材としての可能性を感じさせたのは負けた熊工の山口。まだ細身で、時折、突っ込むので制球がバラつくが重心低く肘も柔らかく使う」 熊本工の山口は智弁学園戦で9回で11安打9失点して甲子園を去ったが、175球を投げて最速は148キロ、コンスタントに143キロ前後のスピードは出ていた。 「東海大市原望洋の金久保は、まだ線が細いが、変化球とストレート(最速147キロ)を同じように腕が振れる。そこにはセンスを感じる。打者は打ち辛いだろう。静岡の左の池谷は上背はないが、体全体をうまく使える。高校生では珍しく変化球を投げる時に腕が緩まない。福岡大大濠の三浦は、打者のタイミングをはずすコツを心得ている」