名スカウトが選ぶ春のセンバツ甲子園注目のドラフト候補13人
片岡さんが野手でピックアップしたのは別表の7人。 安田、金成、太田英毅(智弁学園)の3人はすでに登場。金成は初戦敗退となったが、太田はプロ注目の山口から9回一死二塁の場面でレフトスタンドへ2ランを放り込んだ。170球を超えて疲れた山口の131キロの高めのストレートを見逃さなかった。3拍子揃ったショートストップだ。 「すでに日大三は初日のカードで姿を消えてしまったが、金成はバットスイングが速く、竹田の揺さぶりゆさぶりに対しても大きく崩れることはなかった。一塁手となると、なかなかプロが手を出しにくいポジションだが、体格も含めて素材としては魅力。 安田も、清宮同様、日大三の左腕、桜井のスライダーに戸惑った。待ちきれずにバットが先に動く。桜井のボールの出所の見極めが難しく間を作れなかったのだろう。清宮に比べると、まだバッティングに硬さがある。ただ、いくら金属バットとはいえ、コンパクトに振って逆方向のフェンスにまでボールを運ぶパワーはたいしたもの。サードの守備も軽快で清宮と、安田の2人が、このセンバツでは頭ひとつもふたつも抜けた存在。太田は、そこまでのプレーヤーとしてのスピードを感じなかったが、彼のように3拍子揃ったショートは、どこの球団も欲しい」 今大会はショートに好素材が多く、太田以外にも、守備力に定評がありバッティングでは広角に打てる嶋谷翔平(宇部鴻城)、片岡さんからは名前が出なかったが、ロッテに進んだ先輩の平沢大河とも比較される西巻賢二(仙台育英)らがいる。 「将来性を考えてキャッチャーにも注目したい。福岡大大濠の古賀は、ショートからコンバートした変わりダネ。スローイングは捕球してからが非常に早い。“止める”という基本技術もある。バッティングはパンチも兼ね備えていて、キャッチャーは育成に時間がかかるが、欲しい球団は多いだろう。神戸国際大付の猪田は、少し動きに固さがあるが、キャッチャーに必要な基礎体力はありそう」と、片岡さんは、注目キャッチャーとして古賀悠斗(福岡大大濠)、猪田和希(神戸国際大付)の名前を挙げた。 古賀は2年秋にショートからキャッチャーに転向。スローイングの秒数はプロでもなかなか出せない1.8秒台で、通算42本塁打を誇る。猪田も2年秋にレフトからキャッチャーへ転向した。秋の予選では4本塁打をマークしている強肩強打のキャッチャーだ。 さて最後に2度目の甲子園登場となる通算79本塁打の“怪物”清宮幸太郎(早実)についてだが、片岡さんは、「成長は著しいが明徳の左投手にどういうバッティングができるかをチェックしたい」という。 「昨秋、日大三高の桜井に5三振を喫したが、左投手に対してはボールを見ているけれどタイミングがとれず、間のあるスイングができていなかった。こういう決定的な弱点を最初から持ってプロへ行くのは厄介。秋から春にどう対応できるようになっているかを見てみたい」 早実は23日に明徳義塾と対戦するが、明徳義塾のエースの北本佑斗は清宮が苦手とする左腕である。1992年夏の甲子園で、星稜高時代の松井秀喜を5打席敬遠で歩かせ、物議を呼んだ経験のある明徳義塾の馬淵監督は「全打席敬遠はしないが、場合によってはあるかも」と早くも“牽制”、心理戦を仕掛けている。 ドラフト候補生たちの活躍に注目するのもセンバツ観戦の醍醐味のひとつだろう。