旅行をドタキャンした友人にキャンセル料全額払ってもらえる?弁護士の見解は
友人に支払いの義務は発生しない
トピ主さんは、自身のキャンセル料まで全額友人に支払うよう求めることができるのでしょうか。弁護士の古藤由佳さん(弁護士法人・響)は、「事前にトピ主さんと友人の間にキャンセル料についての合意がなかったのであれば、友人がトピ主さんのキャンセル料を支払うべき義務が当然に生じるわけではありません」と説明します。よって、トピ主さんと友人は、自分のキャンセル料をそれぞれ支払うことになります。 また、トピ主さんが一人旅に切り替えて、旅行代金や宿泊料金などに加算料金が発生した場合にも、友人はトピ主さんに生じた損失を賠償する義務はないといいます。 「もし、トピ主さんが友人に何か請求できるとしたら、『不当利得返還請求』または『不法行為に基づく損害賠償請求』となります。しかし、今回の旅行のキャンセルによって友人に何らかの利益が生じたとは考えられないため、不当利得返還請求はできません。また、友人の故意または過失によってトピ主さんに損害が生じた場合は、損害賠償が求められますが、今回のケースは、友人がわざと仕事を入れたわけではないと思うので、故意は認められません」と古藤さん。 ただし、友人がずいぶん前から仕事の予定が入っていたにもかかわらず、スケジュール確認を怠って航空券の予約を入れてしまい、直前になって仕事の予定に気づいてキャンセルを申し出た場合などには、賠償請求ができる余地があるかもしれないそうです。 このようなトラブルを起こさないためには、「どちらか一方の都合でキャンセルになった場合、キャンセル料はその人が全額支払う」といった取り決めを事前にしておくことが必要です。「そうした取り決めは、旅行に際して生じる、あるいは生じるかもしれない費用負担に関する合意であり、一種の契約になります。必ず書面で合意しなければ効力が生じないというものではないので、口頭での約束でも有効ですが、後でその内容を証明できるように、LINEやメールなどでやり取りをして残しておくことをおすすめします」と古藤さんは話しています。 キャンセル料の支払いを巡るトラブルは、航空券だけでなく、宿泊施設や飲食店などの予約キャンセルの際にも起こり得ます。楽しい時間を過ごす前には悪いことは考えたくないものですが、“もしも”の事態を想定して、対策を取っておくことが大切なようです。 (読売新聞メディア局 長縄由実)