代表者の一部住所の非公開がスタート、選択するか「わからない」が半数 与信上「マイナス評価」が約2割
Q1.10月1日の商業登記規則の一部改正で、株式会社は会社登記簿謄本(商業登記)の代表者住所の非公開が可能になりました。貴社は、向こう1年以内に非公開としますか?(択一回答、株式会社が対象)
◇「する」と「しない」が拮抗 代表者の住所非公開を1年以内に選択するか尋ねた。「する(した含む)」は26.6%(5,125社中、1,363社)で、「しない」は25.9%(1,330社)だった。一方、「わからない」が47.4%(2,432社)と半数近くあり、非公開選択を知らない企業も多いようだ。 規模別では、「する(した含む)」は大企業が23.4%(453社中、106社)、中小企業は26.9%(4,672社中、1,257社)と、中小企業の方が高かった。また、「わからない」は大企業が56.2%(255社)、中小企業が46.6%(2,177社)と大企業が10ポイント近く高かった。
代表者住所の非公開を向こう1年以内に「選択する」、「選択しない」業種別上位
「する(した含む)」と回答した企業の業種別(母数10社以上)は、クリーニング業や美容室など「洗濯・理容・美容・浴場業」が53.3%(15社中、8社)で最も高かった。次いで、「職業紹介・労働者派遣業」の48.5%(35社中、17社)、検量業など「運輸に附帯するサービス業」の40.6%(32社中、13社)が続く。 個人向けのサービス業だけではなく、鉄鋼業や金融関連など、幅広い業種で非公開を選択する企業が広がりそうだ。 一方、「しない」は、「業務用機械器具製造業」が41.4%(41社中、17社)で最高だった。次いで、「宿泊業」の36.8%(19社中、7社)、「繊維工業」の35.5%(45社中、16社)、「その他の教育,学習支援業」(12社中、4社)と「農業」(27社中、9社)の各33.3%など。 「しない」も業種に偏りはみられなかった。
Q2.Q1で「しない」と回答された方に伺います。理由は何ですか?(複数回答)
◇非公開に「しない」理由 「与信判断の硬化や手続き増を懸念」 代表者住所の非公開を「しない」と回答した企業に理由を尋ねた。 最多は、「非公開にできることを知らなかった」が31.3%(1,238社中、388社)だった。10月1日に商業登記規則が改正されたが、認知度が低いままのスタートとなったようだ。 次いで、「非公開手続きが煩雑と感じるため」の25.6%(318社)、「取引先の与信判断の硬化が懸念されるため」の21.8%(271社)、「行政手続きで提出書類の増加が見込まれるため」の20.8%(258社)と続く。 「しない」理由のなかには、非公開にすることで与信低下を懸念する企業が多いこともわかった。 「取引先の与信判断の硬化が懸念される」と回答した企業の産業別は、最も構成比が高かったのは、「農・林・漁・鉱業」(14社中、4社)と「金融・保険業」(同)が各28.5%。 また、「金融機関の融資支援の硬化が懸念される」は、「情報通信業」の21.3%(61社中、13社)が最も高かった。次いで、建設業の19.7%(208社中、41社)、不動産業の17.0%(41社中、7社)と、事業継続に借入金や信用取引が大きなウェイトを占める業種が目立つ。