Amazon、兵庫県に総額1370億円超を投資 インフラ拡充や人材の雇用より地域経済の成長を支援
Amazonは12月16日、2012年~2023年の期間に兵庫県に1370億円超の投資を行ったと発表した。、テクノロジーやインフラへの投資により地域経済の成長を支援した。同時に公開したECの普及の影響についての調査結果では、企業のビジネス成長サイクルを後押し、雇用も増加傾向にあることなどがわかった。 Amazonはこのほど、兵庫県への経済や社会への貢献について発表した。2023年の単年で310億円以上の投資を行っており、これは2012年から2023年までの期間の兵庫県への総投資額1370億円超の20%以上に相当する。 この金額には、設備投資(物流拠点であるフルフィルメントセンター、配送拠点であるデリバリーステーション、データセンターなどのインフラ整備を含む投資)と、顧客や配送パートナー、中小企業向けプログラムの拡充、従業員の報酬などの事業運営費が含まれる。Amazonによる兵庫県への投資は、顧客が満足できるソリューションとサービスを創出することで、県内の企業や地域経済を支援し、雇用を創出するという長期的なコミットメントを表している。 兵庫県は、屋内においてAmazonによる投資が多い県の1つであり、2020年に兵庫県初の配送拠点であるデリバリーステーションを尼崎市に開設して以降、県内での投資を加速させてきた。2022年には、尼崎市に商品保管容量約100万立方フィート、延べ床面積10万㎡以上(東京ドームの2個分以上の規模)の西日本最大の物流拠点である「フルフィルメントセンター」を開設。さらに2023年には、神戸市長田区に新たな「デリバリーステーション」を開設した。 米国の経済・戦略コンサルティング会社Keystone Strategy(キーストーン・ストラテジー)は、Amazonの投資により2023年に兵庫県において、間接的な働く機会を5000以上創出したと試算している。これには、兵庫県内のAmazon施設の建設に携わる建設業、輸送業、エンジニアリング、維持・管理会社などの人々の働く機会が含まれている。 兵庫県は、Amazonの地域社会への貢献において極めて重要な地域でもあり、2023年には「Amazon尼崎FC」内に日本初となる災害支援物資の保管拠点「Disaster Relief Hub」が設置された。自然災害により被災した人々へ迅速かつ効率的に支援物資を届けるための拠点となり、支援物資にはモバイルバッテリーや衛生用品など約50種類、約1万5000点の災害支援物資が含まれている。過去の被災者からニーズが高かった物資を中心に選定しており、計画的に保管を行っている。 Amazonは、地球上でもっとも顧客を大切にする企業を目指しており、顧客に喜ばれる価値あるソリューションやサービスを創造し、求めやすい価格の幅広い商品と、利便性の高い買い物体験を提供する継続的な取り組みだとしている。 全国の中小企業を含む販売事業者がAmazonで商品を出品しており、全国にあるフルフィルメントセンター(物流拠点)やデリバリーステーション(配送拠点)などのインフラへの投資は、販売事業者による「フルフィルメント by Amazon」を活用した日本全国、および海外の顧客への商品の発送に貢献している。 日本の中小企業は、地域社会の中核であり、日本経済の柱として大きな役割を担っており、Amazonには兵庫県内の約6000の販売事業者が出品している。革新的なツール、プログラム、サービスにより、販売事業者のビジネスの成長を支援しており、2023年に兵庫県の販売事業者は、Amazonで数百万点の商品を販売した。 これに伴い、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(アマゾンジャパンからの委託研究)が2024年8月に実施した「Eコマースの普及が企業と消費者にもたらす経済的影響」調査の結果も公表しており、Eコマースは企業、とりわけ中小企業の成長を促進し、オンラインショッピングによって消費者は文化的豊かさと生活満足度が向上することがわかったとしている。 企業の売上変化に関する調査では、過去1年~9年前のどこかのタイミングで、Eコマースを開始した兵庫県の企業は、開始後、平均して売上伸び率は年に約1.6%上昇したことがわかった。一方、Eコマースを行っていない企業に増減は見られなかった。全国の小売業(EC実施の有無にかかわらず)の2015年~2023年の売上増加率の中央値が-0.08%であることと比較すると、Eコマースの成長率が顕著であることがわかる結果となった。 調査では、Eコマースを契機に事業が拡大するにつれて採用を増やすことが判明した。兵庫県ではEコマースの開始4年目以降は平均2人を新たに採用しており、これは全国平均の2倍にあたる。 調査結果は、Eコマースの導入が、例えばデータ分析、デジタル在庫管理、コンテンツマーケティングなど、従業員のデジタルスキルや知識の開発に効果的な手段であることも示している。導入後も、従業員はEコマースの実務を通してスキルを取得し続けており、兵庫県で過去3年以内にオンライン販売を開始した会社の従業員は、平均2つのデジタルスキルを新たに得たと回答した。一方、Eコマースを開始していない企業の従業員は、デジタルスキルの習得はほぼゼロだった。 さらに、Eコマースの開始後、兵庫県の企業の売上増加率は年に約1.6%底上げされる一方で、月間平均労働時間は全国平均1.3時間の減少を上回る2時間減少しており、Eコマースが生産性の向上につながることも明らかになった。 消費者に関する調査では、過去1年間にオンラインショッピングを始めた人は、80%が「いつでもどこでも簡単に買い物ができる」こと、70%が「商品の迅速な配送」をオンラインショッピングの利点だと感じていると回答しており、オンラインショッピングの最大のメリットは利便性であることがわかる結果となった。 さらに回答者全体では、主要な商品カテゴリー(書籍、日用品、家電製品、美容・ヘルスケアなど)において、オンラインショッピングの方が小売店よりも平均して4.5%程度安く入手できると回答している。 さらに回答者の60%がオンラインショッピングでは「幅広い商品にアクセスできる、バラエティの豊富さ」、40%が上記カテゴリーにおいて「高品質な商品を入手できる」ことをメリットとして実感していることもわかった。 文化的な側面からの質問として、普段の生活や地元の商店では見つけることが難しい本や地方の珍しい食材との出会いなどを例に挙げ、オンラインショッピングを通じた文化体験についてたずねたところ、7割が「文化的豊かさ」を感じるようになったと回答。8割が「暮らしの満足度が上がった」と感じているなど、オンラインショッピングが消費者の生活の質の向上に貢献していることがわかった。 これらの結果を受け、GLOCOM 主幹研究員 田中辰雄氏は、「今回の調査結果は、兵庫県の企業がEコマースを効果的に利用して事業成長を遂げていることを示しています。Eコマースは企業の売上と生産性を向上させ、それにより企業は得た利益を再投資してさらなる雇用を生み、従業員のスキルアップを図り、事業を継続的に成長させていることが読み取れます。Eコマースは兵庫県の企業にビジネス成長の良い循環をもたらしていると言えるでしょう。また、Eコマースは、私たちの社会や文化に新たな価値をもたらしました。利便性や価格、商品の幅広さに加え、珍しいあるいは、見つけづらい商品を購入できる喜びから得られる文化的価値も注目に値します。Eコマースは地域間の格差を解消し、消費者が文化的に豊かな生活を送ることに一定の貢献を果たしていると考えられます」とコメントした。 アマゾンジャパン 社長 ジャスパー・チャン氏は、「お買い物をしてくださるお客様や販売事業者様、配送パートナーの皆さま、地域社会の皆さまには、Amazonの今日までの成長を支えてくださったことに深く感謝申し上げます。Amazonは、今後も兵庫県への投資を通じて地域経済に貢献し、地元の販売事業社様のビジネスを支援し、そして兵庫県にお住まいのお客様の生活そのものを、さらに豊かで便利なものへと変革できるよう努めてまいります」と述べた。
日本ネット経済新聞