ホンダのコンパクトミニバン、新型フリードのデザインが「ただの正統派」と言い切れない深いワケ
それでもクロスターの足元が貧弱に見えないのは、アウトドアツールのゴツゴツ感をうまく取り入れたアルミホイールのおかげだろう。クリーンなデザインが好みの筆者も、このホイールには感心してしまった。 ボディカラーは、エアーではステップワゴンとも共通の「フィヨルドミスト・パール」が、クロスターでは新色の「デザートベージュ・パール」が、それぞれ専用色として用意される。 ■良い意味で生活感あるインテリア インテリアデザインも、水平基調でノイズレスという、最近のホンダのトレンドに合わせたものだ。
先代は、メーターをステアリングの上から見るタイプにして奥に置いたり、センターディスプレイの周囲を盛り上げたりしており、やや煩雑な印象があったので、新型のデザインには多くの人が好感を抱くのではないだろうか。 メーターやセンターディスプレイの表示はフィットやヴェゼルに似ていて、ブランドとしての統一性を感じるし、インパネ奥のラインが水平で出っ張りもなく、そのラインがドアトリム上端に連続しているから、車両感覚も掴みやすい。
シンプルながら無味乾燥になっていないところはN-BOXに似ていて、インパネのパッドを布張りとしたり、その下のトレイともどもアースカラーで彩ったりして、 リビングルームなどを思わせる良い意味で生活感のある雰囲気が生まれている。 加えてクロスターでは、黒基調のファブリックシートに配されたオレンジのステッチが、遊び心を絶妙に盛り上げていることも印象的だった。 乗車定員はエアーが3列シートの6人乗りと7人乗り、クロスターは2列シートの5人乗りと3列シートの6人乗りが用意される。このことからも、クロスターはファミリーユースだけでなく、レジャーユースの受け皿としても位置付けられることがわかる。
プラットフォームを変えていないのでパッケージングに変化はないが、3列目シートは現行型より小さく軽く仕上げており、楽に格納できるようになった。 車いす仕様車と助手席リフトアップシート仕様車は、福祉車両のハードルを下げたいという気持ちからクロスターがベースになり、前者はレジャー用途にも使ってもらおうという気持ちから、「スロープ」というグレード名になったという。 ■「優れたカーデザイン」を考える 全体的に見て言えるのは、フリードそのものより、ホンダ・デザインとしてのメッセージが明確だということだ。しかも、小細工に頼らずに美しさと使いやすさの両立を目指す方向性は、デザインとしては正統派であり、直球勝負と言える。