ホンダのコンパクトミニバン、新型フリードのデザインが「ただの正統派」と言い切れない深いワケ
■AIRとCROSSTAR デザインは「シンプル&スマート」という、最近のホンダのトレンドに合わせたものだ。とりわけエクステリアは、ひとまわり大きなステップワゴンや、軽自動車の「N-BOX」との近さを感じる。 ただし、その2台は、先代から激変したわけではなかった。それに比べるとフリードは、ドアの前の三角窓がなくなったり、サイドウィンドー上端のラインがほぼ直線になって、リアクォーターウィンドーはスクエアになったりと、大きく変わった。
最初にも書いたように、先代はモデル末期まで人気車種だったから、ここまで変えるには勇気が必要だったはずだが、「パワートレインの一新を見た目でもアピールしたい」という思いから思い切ったとのことだった。 ステップワゴン同様、「AIR(エアー)」というサブネームを与えたことからも、心機一転という思いが伝わってくる。 SNSの書き込みなどを見ると、日本のカーユーザーはこうしたシンプルでクリーンなデザインを「物足りない」「安っぽい」と感じる人が多いようだ。現行型の途中で加わった「CROSSTAR(クロスター)」は、それに対する回答に思えた。すっきりしたエアーに対して、こちらはクロスオーバーテイストの演出が先代よりも明確になっていたからだ。
新型クロスターでは、バンパーの一部をブラックアウトしたうえに、シルバーのアクセントを効果的に取り込む。 フェンダーアーチを追加したことも先代クロスターとの違いで、全幅は25mm広がって、フリード初の3ナンバーになった。ちなみに全長は、パワーユニット一新のために45mm伸びて4310mmになった。全高は1755mmで、2740mmのホイールベースはそのままだ。 興味深いのは、タイヤサイズが先代と同じで、クロスターも特別なサイズを選んではいないこと。エンジニアによれば、スタッドレスタイヤ用のホイールをそのまま使えるようにして、ユーザーの負担を軽くすることを考えた結果だという。