牛たん「ねぎし」の幻メニュー「しろかつ」の正体、「罪悪感のないトンカツ」が生まれた背景とは?
店を訪れて驚かされた提供までのスピードについて中山さんに聞いたところ、一つの基準としてオーダーから8分以内に提供するようにしていて、全体のうち9割超のケースで守れているといいます。平均値を取ると4分30秒ほどだといい、また驚かされました。 以前は牛たんを焼くのに炭火を使っていたそうですが、10年ほど前にガスで焼く形に変更したことも、高速化に影響しています。炭の良いところである高い温度や強い火力をガス調理でも維持できるよう、特注で調理器具を開発したそうです。
長い歴史がある中で、今回のしろかつが登場したのは7年ほど前。新業態を検討する中で生まれました。 「ねぎしの出店エリアは関東圏に集中しており、商圏を広げるか、あるいは同じエリアで新たな業態を始めるか実験していました。その中で、強みである定食を軸にして、今度は豚肉をメインにした店ができないか、と考えたのです」 新たな店舗の看板メニューが、トンカツ。さらに、主に女性客をターゲットにして「罪悪感のないカツを作ろう」というコンセプトで開発を進めていきました。そこでのポイントが「軽い」「柔らかい」「茶色ではない」こと。都内にいくつかあった、白いトンカツを提供している店を研究しながら、しろかつの原型ができていきました。
とはいえ、見た目が白いトンカツは、長い時間をかけてゆっくり揚げていく必要があり、効率の良いオペレーションを実現する上ではネックでした。そこで、作業工程を分析して分解していく中で、揚げる前に肉を低温調理しておき、注文が入ったら衣をつけてさっと揚げる方式にたどり着いたと中山さんは振り返ります。そのため、豚肉の揚げ物でありながら、断面の美しい色合いを実現できています。 素材の面では、トウモロコシの飼料で育ち、脂身もしっかりしている豚ではなく、小麦で育ち、あっさりとした肉質が特徴の豚肉を北米から輸入。パン粉も、都内の有名店が仕入れている、パン粉専門の老舗業者から仕入れており「可能な限り衣を白くしたいので、揚げたときに色が最も付きにくいものをお願いして仕入れています」と中山さんは話します。