女性YouTuberは入籍を発表すべき? 動画から“プライベートの切り売り”について考える
2024年現在、YouTube界は怒涛の結婚・出産ラッシュを迎えている。例を挙げると、ヒカキンやフィッシャーズのシルクロードと元ヴァンゆんチャンネルのゆん夫妻、東海オンエアのてつやと峯岸みなみ夫妻らだ。20代前半で有名YouTuberとなった彼らは、ブレイクから数年経ち、こういったライフイベントを迎えつつある。 【写真】プライベートとYouTubeについて語り合う女性YouTuberと青山テルマ「SNSとの距離感が近い」 そこで気になるのが、YouTuberという職業とライフイベントの兼ね合いだ。入籍や出産を視聴者に報告するのか、子どもは動画に写すのか、結婚・出産をするとチャンネルの色は変わってしまうのか? 一般人と芸能人の狭間であり、限りなくプライベートに近い部分を動画に昇華しているYouTuberだからこそ、一つひとつの判断に思い悩む部分もあるだろう。 今回は結婚・出産ラッシュを迎え、YouTuberとして仕事とプライベートにどう向き合っていくのかについて、動画をもとに考察していきたい。 ・SNSや動画バレ、いまの時代に悩む人生の映し方 女性3人組YouTubeグループのヘラヘラ三銃士は、メンバーひとりとゲスト2人を迎え人生観についてトークする。『グータンヌーボ』(関西テレビ)ならぬ『ヘラヌーボ』というシリーズを投稿している。 今回注目したいのは2024年4月19日に投稿された回だ。メンバーは1年ぶりの再会となる、メンバーのありしゃん、そして同じくYouTuberの平成フラミンゴのNICO、歌手の青山テルマだ。 議題に上がったのは、妊娠・出産の発表について。そもそも日常的に撮影をするYouTuberは外見で妊娠したことが視聴者に伝わってしまうので、発表についてありしゃんは「難しいですよね」と言及。青山は「SNSとの距離感が近い」という現代だからこそ、何気ないショットから妊婦であることが世間に伝わり、ストレスを抱えるのではないかと持論を展開した。 さらに話題は、結婚をすぐ公表するかというテーマに。ありしゃんは「YouTuberはこっち(プライベート)の話もするから、見てる人は隠したいのか言いたいのかどっち? ってなる」と悩みを吐露した。一方ヘラヘラ三銃士は“赤裸々系”というチャンネルの特徴があるため、結婚は視聴者に言いやすいのではないかとNICOは分析した。 自身が所属する平成フラミンゴについては「プライベートの話はしてるようでしてない」と説明。さらにNICOは、以前好きな人の話をしたところ、動画を通して本人に伝わってしまった過去を明かした。その出来事がきっかけで、恋愛に限らず、「ちょっとしたことも話しにくくなってしまった」と明かした。 恋愛に限らず、どこまでプライベートを切り売りしていくかというのも、知名度が上がるにつれて悩むところだろう。また、ヘラヘラ三銃士と平成フラミンゴのように、同じYouTubeクリエイター同士でもチャンネルの色によって視聴者の受け取り方は異なるようだ。 大前提として、結婚や出産したことを公表する義務はない。ただ、同時にYouTuberの魅力のひとつに、ありのままの姿を発信しているという要素があるのも事実だ。プライベートとはまったく別軸の動画で人気を博しているチャンネルや、結婚・出産を機に表舞台を引退するというケースであれば、ここまで悩むこともないかもしれない。だが多くのYouTuberは、自身のパーソナルな部分も見せつつ動画をつくる場合がほとんどだ。だからこそ、結婚や出産を公表しないとなると、違和感を感じてしまう人があらわれてしまうのだろう。 加えて、今回出演しているありしゃんやNICOは、いま現在YouTube界の最前線を走っているクリエイターだ。仮に結婚や出産をしても活動は続けていく方向で考えていることが、動画から読み取れる。そうなった場合、“ありのままの姿を発信している”というYouTuberの強みと、プライベートの開示はどう折り合いをつけていけばいいのだろうか。視聴者に求められているものと、守りたいもの。考え方は人それぞれだが、この議題は結婚・出産に限らず、YouTube活動全体に対して考えさせられるテーマなのではないだろうか。 本企画は、女性という共通点を持ちながらチャンネルの色が異なるありしゃんとNICO、そして歌手であり幅広い交友関係を持つ青山テルマの3人の視点から、現代の女性クリエイターの人生について掘り下げていく。 絶妙に共通点がありながらも、三者三様の考えを知ることができる『ヘラヌーボ』。普段の動画ではなかなか知ることのできないリアルなYouTuberの悩みが明かされており、動画クリエイターと視聴者の距離感を考えさせられる企画となっている。まだまだ未開拓のYouTuberという職業のいまを知ることができる動画となっているので、ぜひ同世代はチェックしてほしい。
はるまきもえ