「私がオリンパス社長シュテファン・カウフマン(56)にコカインを売った」違法薬物の売人が5時間にわたって独占告白した“衝撃の内容”とは
煙草の箱と白のトートバッグ
三度目に小誌が彼らを撮影したのは、同年3月10日夜8時45分。自宅近くでX氏と密会したカウフマン氏は、膨れた煙草のボックスをX氏に手渡す。代わりに彼が受け取ったのは、白色のトートバッグだった。カウフマン氏はそれを大切そうに小脇に抱えると、周囲を見回しながら小走りに自宅に舞い戻った。 さらに約1年8カ月に及ぶ取材の結果、小誌は、100通余の通信記録と2人が“取引現場”で交わした会話を記録した3本の音声データを入手した。 それらの物的証拠が浮き彫りにするのは、違法薬物に身を沈めていく巨大企業トップの背徳の履歴である。 ◇ 10月28日、カウフマン氏の辞任について、オリンパスはHPで次のように説明している。 〈当社は、シュテファン・カウフマン氏が違法薬物を購入していた旨の通報を受け、外部の法律事務所とも相談の上、直ちに事実確認を行うとともに、捜査機関に対して報告し、捜査に全 面的に協力してまいりました。内部調査の結果、当社取締役会は、シュテファン・カウフマン氏が当社の行動規範、コアバリューそして企業文化とは相容れない行為をしていた可能性が高いと全会一致で判断したことから、同氏に辞任するよう求めたところ、同氏がこれに応じ、取締役会が受理した〉
不正会計事件からの立て直しで竹内氏と共に奔走
カウフマン氏は、どのような経歴の持ち主なのか。 1968年、ドイツ・フランクフルトで生まれたカウフマン氏は大学卒業後、ドイツを代表する老舗百貨店「カールシュタット」で組織作りのプロとして経歴をスタートさせる。 2003年5月にオリンパス・ヨーロッパに転職。最愛の妻がオリンパスのカメラの愛好家だったことが、この決断を後押ししたという。2009年に東欧市場の責任者に就いたカウフマン氏は、人事・管理部門に加えて医療事業も担当し、キャリアを順調に重ねてきた。 カウフマン氏を語る上で欠かせない人物が、オリンパス代表執行役会長の竹内氏である。 「2011年、オリンパスは巨額の損失を『飛ばし』という手法で長期にわたって隠し続け、その負債を粉飾決算で処理していたことが発覚。創業以来の危機に直面しますが、その直後に社長に就いた笹宏行氏を取締役として全面的に支えたのが、竹内氏でした。『この会社を変えねばならない』と、不正会計事件からの立て直しを標榜する竹内氏に賛同し、共に奔走してきたのが、カウフマン氏でした」(オリンパス元社員)