スナックのママがトレカに…トークや歌唱力など多彩な「戦闘力」
青森県大鰐(おおわに)町の大鰐温泉郷で、スナックのママらをユニークに紹介するトレーディングカードが配られ、話題を集めている。レトロな雰囲気も味わえるスナックが若者や外国人観光客に注目されていることから、県がにぎわいの再生につなげようと作成した。写真と一緒に「トーク力」や「歌唱力」などを数値化してママらの魅力を伝える。カードを求め、県外から訪れる客もいるという。(青森支局 家高ひかり) 【写真】「明るさ」が売りの「フローラ」のママ池田さん
800年超の歴史があるとされる大鰐温泉は「津軽の奥座敷」とも呼ばれ、スキー場の人気もあって歓楽街が発展。だが、大鰐町の人口は現在8200人ほどで、県の統計では町の観光客数は1991年に93万人を超えたものの、ここ数年は56万人前後にとどまる。
温泉郷にはバブル期にスナックも40軒ほどが並んだが、景気悪化や人口減少で今は十数軒に減った。パチンコ店などの看板が残る通りは閑散としているが、夜は街灯の明かりがほんのり浮かび、昭和期の温かさを感じられる。訪日外国人の増加でスナックに関心が高まるなか、県は今夏、地域振興につなげる観光イベントの一環として、「スナックママカード」を作った。
カードの表面には店に立つ13人の写真と一緒に、それぞれ「スポーツジムでのトレーニング」「二日酔いがひどい」「体の成長が止まらない」と趣味や悩みを記載した。裏面には個性や人柄が分かる「涙もろさ」「表現力」「傾聴力」など5段階の自己評価をグラフで表現している。店ごとに400枚ほど用意し、飲食物を注文するともらえる。
スナック「フローラ」を切り盛りするママの池田文子さん(51)は「県外での飲み歩き」が趣味で、「明るさ」と「お酒愛」が3・5だ。カードを求めて東京から店に足を運んだ新規の客は「これがほしかった」と喜び、閉店まで話し込んだという。池田さんは「全種類集める人もいた。街に活気が戻ってきたような感じ」と笑顔を見せる。
県はこれまで、漁師たちの姿を紹介する「あおもりの肴(さかな)漁師カード」を作り、地元水産物のPRにも生かしてきた。新たなスナックママカードについても、SNS上で「スナックに行ってみたい」との反応があるという。
企画した県職員の福士佳依さん(25)は「スナックはアットホームで、お客さん同士も仲良くなれる。カードをきっかけに初めての人も店に入りやすくしたい。地域のにぎわいにつながればいい」と期待する。