清水草一の自動車10大ニュース 5位は売れて、そして盗まれた、あの超人気車種が登場
まさにお祭り状態のあのクルマがランクイン
2024年に自動車業界で起こった出来事の中から、清水草一氏が心に残ったものを10つ選び、ランキング形式でお伝えします。10位から6位に続き、5位に選んだのはトヨタ・ランドクルーザー(ランクル)シリーズの躍進だ。 【写真49枚】シリーズ全体で月間5000台以上の販売台数を誇る大人気車種へと成長を遂げた最新のランドクルーザー・シリーズ、250系、300系、70系、レクサスLXの詳細画像をチェック ◆引き続き、クルマ好きがお送りします ただのクルマ好きがお送りする、2024年の自動車関連10大ニュース。本日は第5位の発表です。 ◆第5位 ランクル一家が売れた! そして盗まれた! 2024年はランクル祭りと言ってもいい年だった。2023年11月の70(ナナマル)の復活に続いて、4月に250が発売。2021年に発売されたランクルシリーズのフラッグシップ・300、その姉妹車のレクサスLXと合わせると、4モデル揃い踏みとなった。 しかも、そのどれもが実質売り切れで納車待ち数年という、フェラーリやランボルギーニ並みの状況なのだから凄いじゃないか。 ◆スーパーカーの友 とあるスーパーカーコレクターは、ランクル300を3台所有されているという。「ビニール傘みたいに、いろんなところに置いておきたいんです」という理由で。ランクルのブランド力は、少なくともスーパーカーのビニール傘……いや、スーパーカーの友レベルにまで上昇している。 ランクルはもともと、選ばれし者だけが乗る特別な超本格クロスカントリー車だったが、現在は「カッコいいから」という単純な理由で選ばれるケースが多い。メルセデスGクラス化である。乗り味は実に文化的で快適で、それでいて超本格派。用途は、前述のようにスーパーカーの友から、一般家庭の日常の足まで幅広い。 ◆うなぎ上りの販売台数 販売台数もうなぎ上りで、2024年10月には5549台が登録され、国内販売ランキングの第10位に入線した。アルファードの背中が見えるところまで迫っているのである。内訳は以下の通りだ。 ランクル250/4350台 ランクル300/860台 ランクル70/300台 レクサスLX/98台 250が圧倒的な人気を集めているように見えるが、どれも生産が追いつかないので、人気の実態はよくわからない。ともかく日本はランクル祭りなのである。 2025年は、レクサスGXも加わり、ランクル一家は5モデルに増殖。かつてのカローラ一家のような量販ファミリーに成長するかもしれない。 ◆盗難車ランキングでも常に上位 ランクルと言えば、盗難車ランキングでも常に上位に入線している。警察庁が2024年に発表した自動車盗難等の発生状況(2023年の実績)によると、盗難台数の1位はアルファード(700台)、2位ランドクルーザー(643台)、3位プリウス(428台)、4位レクサスLX(261台)。ベスト4のうち2つをランクル・ファミリーが占めた。 アルファードやプリウスは登録台数が非常に多いので、盗難率で見ればランクル・ファミリーが圧倒的。中でもレクサスLXの盗難率は、他を大きく引き離している。1000台あたりの盗難台数ベスト3は以下の通りだ。 第1位 レクサスLX/32.7台 第2位 ランドクルーザー/2.2台 第3位 アルファード、レクサスLS/0.9台 レクサスLXの「1000台あたり32.7台」というのは、つまり3%以上の確率で盗まれたわけで、天文学的な高さと言わねばならない。日本国内の自動車平均盗難率は0.01%前後。その3000倍なのだから驚きだ。生半可な覚悟じゃ買えないぜ! まさにランクル祭り。 文=清水草一 (ENGINE WEBオリジナル)
清水草一